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2019 年度 実施状況報告書

細胞内イオン濃度調節によるT細胞初期分化の新規制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K07178
研究機関順天堂大学

研究代表者

大洞 將嗣  順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 先任准教授 (40351506)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードイオンチャネル / T細胞分化 / βセレクション
研究実績の概要

本研究の目的は、T細胞の初期分化の分子基盤を明らかにすることである。本年度は以下の成果を得ることができた。
1. 非選択的陽イオンチャネルTrpm7をT・B両細胞特異的に欠損するマウス(以降Trpm7 KOマウス)では、CD44- CD25+ CD28+(DN3b)およびCD44- CD25-(DN4)におけるpre-TCRalpha鎖の発現がほとんど認められなかった。
2. チミジン類縁体であるEdu(5-エチニル-2’-デオキシウリジン)をマウスに投与し細胞増殖を、Annexin V-FITCとPI染色による細胞死を検討した検討した。その結果、Trpm7はDN3細胞の増殖と正常な細胞周期の進行、および細胞の生存を正に制御していることが明らかとなった。
3. 野生型マウスとTrpm7 KOマウスのCD44- CD25+(DN3)からRNAを採取し、RNAシークエンス解析を行った。その結果、Trpm7欠損によって複数の最初期遺伝子(IEGs:immediate early genes)、T細胞では機能が未知のキナーゼ遺伝子、長鎖ノンコーディングRNAを制御する分子などの発現が大きく低下していた。これらの遺伝子の大部分はDN3bで発現が上昇する遺伝子であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに得られた結果は、Trpm7がT細胞のβセレクションに必要であることを強く支持し、それを制御する候補分子の選別も進み、本研究の仮説を支持する結果を順調に得られているため。

今後の研究の推進方策

Trpm7がTCRβ鎖の再構成を制御する分子メカニズムを、Rag1など再構成に関与するタンパク質の発現、機能について解析する予定である。また、RNA-sequence解析によって得られた候補分子について、造血幹細胞/リンパ球前駆細胞にレトロウイルスで遺伝子を導入し、in vitro T細胞分化系を用いて候補遺伝子の機能を評価する。並行していくつかの遺伝子については、ゲノム編集を用いてノックアウトマウスの作成を実施する。さらに、野生型とTrpm7 KOマウスのDN3a細胞を用いてRNAシークエンス解析を行い、βセレクション前においてTrpm7が制御する分子を同定する。

次年度使用額が生じた理由

次年度のマウス飼育費用の増加が見込まれるので、その費用に充てるため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Stromal interaction molecule deficiency in T cells promotes spontaneous follicular helper T cell development and causes type 2 immune disorders.2019

    • 著者名/発表者名
      Oh-hora M, Lu X, Shiokawa M, Takayanagi H, Yamasaki S.
    • 雑誌名

      Journal of Immunology

      巻: 202 ページ: 2616-2627

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1700610.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pivotal role of STIM2 but not STIM1 in IL-4 production by IL-3-stimulated murine basophils.2019

    • 著者名/発表者名
      Yoshikawa S, Oh-hora M, Hashimoto R, Nagao T, Peters L, Egawa M, Ohta T, Miyake K, Adachi T, Kawano Y, Yamanishi Y, Karasuyama H.
    • 雑誌名

      Science Signaling

      巻: 12 ページ: eaav2060

    • DOI

      10.1126/scisignal.aav2060.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Stim-deficiency in T cells promotes spontaneous follicular T cell development and causes type 2 immune disorders2019

    • 著者名/発表者名
      Oh-hora M, Lu X, Shiokawa M, Takayanagi H, Yamasaki S.
    • 学会等名
      FASEB Science research conferences
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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