研究課題/領域番号 |
18K07190
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
廣井 隆親 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 室長 (80228824)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 花粉症 / アレルギー / 舌下免疫療法 / 苦味レセプター |
研究実績の概要 |
前年度報告した舌下免疫療法の著効群/無効群間および花粉症/健常コントロール間で有意な差が認められた苦味受容体(TAS2R)43の役割について治療3年目の解析を引き続き行った。さらに、CD4+ T細胞の様々なリガンドに対する反応性とシグナル伝達系に焦点をあてた臨床免疫学の立場で、治療前~3年間の治療経過におけるTAS2R43遺伝子の個人プロファイルを作成し、免疫学的個性化を形成するバイオマーカーとしてオーダーメイド医療に結びつけた研究を展開した。その結果、2年目に報告したようにTAS2R43遺伝子に注目し健常者と花粉症者を比較してみると健常者においてTAS2R43の発現が優位に上昇していた。また、バイオマーカーとして候補が上がったTAS2R31を含めた3種のTAS2Rにおいて3年度は有意差さらに2年目で治療改善しなかった患者も続けて治療を行うことによりTAS2R43が減少した治療改善群が増加した。 また、前年度報告したようにin vivoにおける苦味受容体の役割を明らかとする為に、TAS2R43のアゴニストであるアロインやカフェインを花粉症患者CD4+ T細胞に作用させたところ、各種Th2サイトカイン発現が抑制され、TAS2R43を介したシグナルが細胞の活性化抑制に関与する可能性が今年も同様に考えられた。 今年度は、コロナ禍により十分なサンプル数が得ることができなかった。次年度は、症例数を増やして解析に臨みたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度においてコロナ禍の影響により耳鼻咽喉科の花粉症による受診が大きく減少したことにより、臨床サンプルが思うように集まらなかった。
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今後の研究の推進方策 |
我々は、東京都重点事業として行ったスギ花粉症の舌下減感作療法の臨床研究において、この治療法の奏功に関わる分子としてCD4陽性T細胞上の苦味受容体を同定した。その後の検討で、健常コントロールと花粉症患者間での発現レベルも有意に異なっていたことから、苦味受容体が花粉症病態そのものに関わることも示唆された。これらの予備検討結果をもとに、スギ花粉症舌下免疫療法を実施する花粉症患者の治療前、治療中、治療後における苦味受容体の発現変化を追うとともに、花粉症症状との相関や味覚との関連性、苦味受容体リガンドを含む食品の摂取タイミングとの関連性などについて調べる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により研究計画が遅延したため。次年度使用額は、in vitroの培養実験と遺伝子発現解析における消耗品にあてる。
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