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2018 年度 実施状況報告書

新規STING結合タンパク質による抗腫瘍免疫システムの獲得メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K07191
研究機関北海道大学

研究代表者

佐藤 精一  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 講師 (60459724)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード自然免疫応答 / tumor suppressor / シグナル伝達 / インターフェロン / 小胞体 / アダプタータンパク質 / がん
研究実績の概要

がん細胞は免疫細胞からの攻撃・排除を受けないように抗腫瘍免疫能を兼ね備えていることが知られている。がん細胞自身の免疫回避獲得機構や、がん特性に関与するシグナル伝達機構と抗腫瘍免疫との関連性については不明な点がある。本研究では腫瘍免疫を視野に入れ、がん特性に関与する分子の自然免疫応答シグナルへの影響を解析する。がん細胞や免疫細胞においてがん細胞の細胞質由来のDNAを認識し腫瘍免疫を活性化させる自然免疫系核酸センサーとして機能するStimulator of interferon genes (STING)に着目し先行研究により単離・同定したSTING新規結合タンパク質(SCI-5)がSTINGとの相互作用により抗腫瘍免疫機構をどのように制御しているのかの解明を行う。多くのがんにおいて発現亢進しているSTING新規結合タンパク質阻害剤を同定し、その機序解析を通じがん細胞の抗腫瘍免疫能獲得とその制御につながる分子基盤の構築を目指す。2018年度は、SCI-5のがん細胞の抗腫瘍免疫に関与するか否かの検討を行った。 STINGを発現するマウスmelanoma細胞においてCRISPR-Cas9の系を用いてSCI5KO細胞を樹立しDNAやcGAMPなどSTINGを介したインターフェロン誘導シグナル並びに、マウスに移植し腫瘍形成を測定した。その結果、SCI-5 KO細胞は自然免疫応答の増強が観察され、さらにマウスに移植した場合、腫瘍形成が抑制された。また、複数のSTINGを発現したがん細胞株においても、SCI-5をsiRNAによりKDした場合、リガンド応答が増強されることを確認した。今年度の結果より、SCI-5はSTINGを介するシグナル伝達に対するnegative regulatorであり、vivoにおいてはtumor suppressorであることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

SCI-5 KO細胞は自然免疫応答の増強が観察され、さらにマウスに移植した場合腫瘍形成が抑制された。また複数のSTINGを発現したがん細胞株においても、SCI-5をsiRNAによりKDした場合、リガンド応答が増強されることを確認した。今年度の結果より、SCI-5はSTINGを介するシグナル伝達に対するnegative regulatorであり、vivoにおいてはtumor suppressorであることが示唆された。本年度予定した、SCI-5によるtumor suppressionはSTINGを介する自然免疫応答によるものなのかについての検証は、着手できなかったが、次年度の予定である、tumor suppressorであるSCI-5のSTING抑制メカニズムも明らかになりつつあるため、『おおむね順調に進展している』とした。

今後の研究の推進方策

SCI-5欠損ガン細胞株のvivoにおける腫瘍抑制の詳細なメカニズム解析を行う予定である。具体的には、この現象が、適応免疫の誘導を介するものなのかについて検討したい。免疫細胞やサイトカインを阻害させる中和抗体、さらに、免疫不全マウス、遺伝子欠損マウスを使用した場合の影響を解析する予定である。

SCI-5のSTING抑制メカニズムについては、両者の結合部位は同定できたので、さらに詳細な抑制メカニズムを、リコンビナントタンパク質を使用した、in vitroの系において証明したい。

SCI-5の発現を抑制する薬剤スクリーニングによる、薬剤開発については、候補化合物を、in vitro, in vivoの系において、自然免疫応答促進効果、ならびに、腫瘍抑制効果の検討を進めていきたい。

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公開日: 2019-12-27  

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