研究課題
がん細胞は高い増殖、生存、運動、浸潤転移能という特性を持っているが、一方で免疫細胞からの攻撃・排除を受けないように抗腫瘍免疫能も兼ね備えていることが知られている。しかしながら、がん細胞自身の免疫回避獲得機構や、がん特性に関与するシグナル伝達機構と抗腫瘍免疫との関連性については不明な点が多い。本研究では、腫瘍免疫を視野に入れ、がん特性に関与する分子の自然免疫応答シグナルへの影響の解析を行った。がん細胞や免疫細胞においてがん細胞の細胞質由来のDNAを認識し腫瘍免疫を活性化させる自然免疫系核酸センサーとして機能するStimulator of interferon genes (STING)に着目し、申請者が単離・同定したSTING新規結合タンパク質であるHeat shock protein 90kDa (Hsp90)やAdenine nucleotide translocase-2 (ANT-2)がSTINGとの相互作用により抗腫瘍免疫機構をどのように制御しているのかの解明を行った。(1) Hsp90βはSTINGと相互作用し、そのシャペロン活性を介してSTINGを安定化させ、病原体感染、ひいては、抗腫瘍応答のために自然免疫応答を正に制御している機構を新たに見出した。(2)また、STING新規結合タンパク質ANT-2は、自然免疫系セカンドメッセンジャーであるcGAMPとSTINGとも結合することで、病原体感染、ひいては、抗腫瘍応答のために自然免疫応答を負に制御している機構を新たに見出した。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Cellular Immunology
巻: 356 ページ: 104188
10.1016/j.cellimm.2020.104188.
iSCIENCE
巻: 23 ページ: 101322
10.1016/j.isci.2020.101322