研究課題/領域番号 |
18K07197
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
牧野 晴彦 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (20467707)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 小細胞肺癌 / DNA-PKcs |
研究実績の概要 |
本年度は以下の検討を行い、小細胞肺癌に対してDNA損傷修復が治療ターゲットになり得るかどうかを検証した。 各種肺癌細胞株に対するNU7441単剤での治療効果の検討 i )細胞増殖阻止濃度(IC50)の検討 各種肺癌細胞に対する、NU7441のIC50 (50%細胞増殖阻止濃度)を検討した結果、N417・H69・Lu139・Lu134Aなどの小細胞癌細胞株は、比較的低い濃度で細胞増殖が抑制された。扁平上皮癌であるSq19やEGFR変異を持った腺癌細胞であるHCC827、大細胞癌であるLu65は低いNU7441濃度で細胞増殖が抑制されたが、非小細胞肺癌であるH1299は高濃度のNU7441が必要であり、A549・PC9などの腺癌細胞は50uMを超えるNU7441を作用させても、細胞増殖抑制効果は起こらなかった。NU7441単剤による細胞増殖抑制は小細胞癌細胞株で強く見られる傾向にあった。 ⅱ)アポトーシス誘導 NU7441単剤における細胞増殖抑制効果として、まず、アポトーシス誘導について検討した。小細胞肺癌細胞株(N417、H69)とSq19では、NU7441投与24時間後より明らかにアポトーシス細胞の増加が見られた。H1299はコントロールと比較して統計学的有意差はあったものの、アポトーシス細胞は5%以下とわずかであった。A549はNU7441投与後48時間経過しても有意なアポトーシス細胞の増加は見られなかった。以上よりNU7441単独によるアポトーシス誘導は、細胞によって大きく異なることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小細胞肺癌細胞株にたいして、DNA損傷修復の阻害は非小細胞肺癌よりも有効な治療ターゲットとなり得ることが示された。今後はさらなるメカニズムとマウスにおいて同様な現象がみられるかの検証を行う。
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今後の研究の推進方策 |
小細胞肺癌細胞が非小細胞肺癌細胞と比較して、DNA-Pkcs阻害剤に対して細胞増殖抑制 アポトーシスが誘導されやすいことが示された。 今後PARP阻害剤ではどうなるのかの検討と該ロぞれの薬剤が、DNA損傷修復に及ぼす影響の評価を行う。マウスにおいて同現象が起こるのかの検討も行うとともに、臨床検体を用いて小細胞肺癌の治療抵抗性について検討する
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次年度使用額が生じた理由 |
来年度は、本年行う予定であったPARP阻害剤のvitroでの検証とともに、臨床検体でのDNA損傷修復経路の検討などを予定している。さらに、抗がん剤耐性小細胞肺癌株においても抗腫瘍効果の検討を考えている。
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