研究課題
ダイナミンは,エンドサイトーシスにおける膜切断や,アクチン細胞骨格の制御に関わる,高分子量GTPアーゼである.Dynamin 2は,ダイナミンのubiquitousなアイソフォームで,細胞の周辺組織への浸潤に必要な膜構造である浸潤突起(invadopodia)やポドソーム(podosome)の構成因子であることが明らかになっていた。そこで本研究では,浸潤突起およびポドソームにおいてDynamin 2と相互作用するタンパク質についての解析を行なった.まずtruncation断片を用いた解析により,Dynamin 2の浸潤突起およびポドソームへの局在には,C末端のproline-rich domain(PRD)が必要であることを明らかにした.Dynamin 2のPRDは,SH3ドメインを持つ他のタンパク質,特に膜リモデリング因子であるBARドメイン蛋白質と相互作用することが知られていた.そこで、共免疫沈降法を用いてDynamin 2と相互作用するBARドメイン蛋白質を探索したところ,10種類のBARドメイン蛋白質を同定した.さらに,免疫蛍光顕微鏡法により,膀胱がん細胞T24の浸潤突起に局在するBARドメイン蛋白質を9種類,さらにNIH-Src細胞のポドソームに局在するBARドメイン蛋白質を16種類同定した.Dynamin 2との結合性と,浸潤突起およびポドソームへの局在の両方を確認したBARドメイン蛋白質について優先的に機能解析を進め,多くのBARドメイン蛋白質が,細胞膜とDynamin 2を繋ぐリンカーとしての機能を持つ可能性を示した.これらのBARドメイン蛋白質のうち,特にPACSIN2について細胞浸潤における機能解析が進んでおり,現在論文を投稿準備中である.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)
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