研究課題/領域番号 |
18K07205
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
長尾 和右 北里大学, 医学部, 講師 (60392487)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | NBCCS / 母斑基底細胞癌症候群 / ゴーリン症候群 / ソニックヘッジホッグ / PTCH1 |
研究実績の概要 |
本研究では高発癌を特徴としPTCH1を疾患責任遺伝子とする優性遺伝病である母斑基底細胞癌症候群 (NBCCS) 症例由来細胞に対して、残存しているPTCH1正常アレルに遺伝子編集ツールであるCRISPR/Cas9システムを利用してセカンドヒットに相当する変異を導入したiPS細胞を作製し、マウスに移植後腫瘍形成能を解析することを目的とした。 昨年度までにNBCCSの複数症例に由来するiPS細胞に対してCRISPR/Cas9システムを用いた遺伝子編集を行い、残存正常PTCH1遺伝子に変異を導入したiPS細胞株、および変異PTCH1遺伝子を正常型に修復したiPS細胞株を数クローンずつ樹立し、PTCH1遺伝子の両アレルに変異を持つiPS細胞では細胞増殖能およびソニックヘッジホッグシグナル伝達系が亢進していることを確認した。 今年度は、これらの各クローンを免疫不全マウスの皮下に移植して腫瘍を形成させ、摘出後に固定して薄切し、ヘマトキシリン/エオジン染色法、および外胚葉、中胚葉、内胚葉の各胚葉マーカー、細胞増殖マーカーに対する免疫組織化学法で解析を行った。NBCCS症例由来iPS細胞および遺伝子編集によってPTCH1遺伝子の両アレルを正常型に修復したiPS細胞では、通常のiPS細胞と同様に神経管、軟骨、消化管などの組織を含む三胚葉からなる奇形腫が形成された。これに対し、PTCH1遺伝子両アレルに変異を持つiPS細胞では各胚葉に由来する組織がほとんど含まれない腫瘍が形成された。各胚葉マーカーの発現を解析したところ、PTCH1遺伝子両アレル変異iPS細胞では外胚葉マーカーの発現のみが認められ、中胚葉、内胚葉マーカーの発現はほとんど確認されなかった。今後これらの腫瘍の解析をさらに行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに作製したiPS細胞を免疫不全マウス皮下に移植し、腫瘍を形成させた。概ね研究計画書の通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
近年iPS細胞を様々な組織の細胞に分化誘導する方法が確立されつつあり、その一つにケラチノサイトへの分化誘導を経た皮膚の3次元培養法がある。本研究課題の対象であるNBCCS症候群では髄芽腫および基底細胞癌の好発が特徴であり、それらの癌を患者由来iPS細胞を用いて再現することが研究目的である。 そこで追加の研究計画として、遺伝子編集を行ったiPS細胞に対してケラチノサイトへの分化誘導を行い、皮膚3次元培養を経て基底細胞癌の再現が可能であるかを並行して進行中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画は順調に進展中であり、当初予定研究費をおおむね使用した (98.2%)。本研究で使用しているiPS細胞の継代・維持に使用する培地・試薬類は比較的高額なものが多く、次年度は研究計画書に記載したiPS細胞のマウスへの移植実験に加えて、in vitro分化誘導法による皮膚の3次元培養を行うことから、購入するに足らない残額は次年度使用額としてそれらの培地・試薬類の購入に充てる予定である。
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