研究課題
癌細胞における遺伝子変異のみならず、癌微小環境の形成が癌悪性化の進展に極めて重要であることが認知されている。しかしながら癌促進性の癌微小環境が癌化の過程でどのように形成されるのか、その分子機構は十分に理解されていない。また、臨床的に有用な癌微小環境の予後予測バイオマーカーも知られていない。申請者らは、癌微小環境中に多く存在する癌内線維芽細胞(CAFs: carcinoma-associated fibroblasts)が近傍の乳癌細胞に作用し癌悪性化を促進することを見出し、CAFsにおけるTGF-βやstromal cell-derived factor 1 (SDF-1)オートクラインシグナルの活性化が癌促進性CAFsの表現型の維持に重要であることを明らかにした実績がある。また申請者らは、乳癌由来CAFsにおいてTGF-β 受容体結合蛋白endoglin (CD105)が高発現していることを、DNAマイクロアレイ解析にて最近見出した。本研究では、CAFs におけるendoglinの機能解析、endoglinのCAFs予後予測バイオマーカーとしての有用性の検討およびCAFsを標的とした新規癌治療の開発の基礎を構築する。Endoglin-shRNAを導入後のCAFsの表現型を調査した。endoglinの発現がCAFsの筋線維芽細胞能および癌促進能を媒介することがわかった。さらにCAFsにおけるendoglinの発現が予後予測バイオマーカーと成り得ることがわかった。
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