研究課題/領域番号 |
18K07211
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
岡田 斉 近畿大学, 医学部, 教授 (20280620)
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研究分担者 |
天野 恭志 近畿大学, 医学部, 助教 (20549331)
古室 暁義 近畿大学, 医学部, 助教 (50512274)
上田 健 近畿大学, 医学部, 講師 (60585149)
太田 一成 近畿大学, 医学部, 助教 (70589928)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | がん / 代謝異常 |
研究実績の概要 |
組織微小環境は、がん、生活習慣病をはじめとするヒト疾患の発症・進展・治療反応性に重要である。近年、タンパク質恒常性維持ネットワーク(PN)が代謝制御、炎症・免疫応答、小胞体ストレス応答シグナル経路と相互作用し、組織微小環境の構築と維持に寄与することが報告されている。BAT3は分子シャペロンとアポトーシス制御、プロテオソーム機能、免疫応答に関与するという一連の報告が我々と他のグループからなされている。しかしながら現在まで、BAT3の個体レベルでの機能は十分に解明されていない。 独自に作成したコンベンショナルノックアウトマウスを作成し解析した結果、Bat3のコンベンショナルノックアウトマウスは胎児性致死を引き起こすことが明らかとなった。そこで我々は、組織特異的BAT3ノックアウト(Bat3KO)マウスを独自に作成した。当該年度はC57BL/6J遺伝背景を有する肝特異的Bat3KOマウス(Bat3LKO: Bat3flox/flox;Albumin-Cre)と膵臓β細胞特異的Bat3KOマウス(Bat3BKO: Bat3flox/flox;Ins-Cre)の樹立を試みたが、順調にマウスの交配が進行し、それぞれのラインを樹立することができた。 Bat3の欠損が肝臓あるいは膵臓β細胞の機能にどのような影響を与えるかを明らかにする目的で、正常食、高グルコース食、高脂肪食で摂餌し、継続的な体重、随時血糖測定を行い、肥満と耐糖能異常の有無を比較した。また、それぞれの摂餌条件から得られるサンプルから抽出したRNAを用いて、遺伝子発現の網羅的解析を行い、Bat3欠損特異的に上昇あるいは低下している遺伝子群の候補を同定する予定である。さらに例数を増やし、これまで得られているデータと合わせて解析し、Bat3特異的な信号伝達系を同定することを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞株、マウス等の樹立は当初予想していた以上に順調に進行することができた。当該年度はマウスコロニー樹立に多くの時間を費やしたが、順調に樹立することができたので、今後さらに計画した実験を継続して行ってゆく予定である。Bat3欠損マウスの組織学的・生化学的解析はほぼ予定通り進んでおり、次年度以降につながる結果が得られていると考える。今後さらに例数を増やすことを予定している。がんモデルマウスを並行して行い、最初のコーホートデータを得ることを急ぎたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
マウスを用いた実験は交配に時間が取られるので、がんモデルマウスのライン確立のため、マウススペースを効率的に活用し、IVF等を適宜用いて、スピードアップを計りたいと考えている。
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