研究課題/領域番号 |
18K07219
|
研究機関 | 公益財団法人佐々木研究所 |
研究代表者 |
山口 英樹 公益財団法人佐々木研究所, 附属研究所, 部長(移行) (10345035)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | Met / PLEKHA5 / リン酸化 / シグナル伝達 |
研究実績の概要 |
MetはHGFをリガンドとする受容体型チロシンキナーゼであり、様々ながんで異常な活性化がみられる。Metは特に浸潤転移、再発、治療抵抗性などがん悪性化に深く関わることから、特有の下流シグナルが存在すると考えられる。申請者はMet遺伝子増幅を持つがん細胞のリン酸化プロテオミクス解析により、機能未知なタンパク質PLEKHA5を同定した。先行研究により、PLEKHA5はMetの下流でリン酸化され、Met依存的ながん細胞の悪性化に関わることを見出した。本研究では、PLEKHA5の詳細な機能解析により、がん悪性化を担うMet特異的なシグナル伝達機構を解明することを目的とする。 今年度は、昨年度に引き続き、PLEKHA5の細胞内機能の解析に重点を置いて研究を進めた。まず昨年度Tandem affinity purification法とマススペクトル解析により同定されたPLEKHA5結合タンパク質について解析を進めた。その結果、複数のタンパク質について、PLEKHA5との特異的な結合を確認した。これらのタンパク質はがんに関わることが報告されている分子であり、現在その結合の機能的意義について検討を行っている。またCRISPR/Cas9システムを用いて、PLEKHA5のノックアウト細胞を作製した。この細胞を用いて、抗体アレイおよびDNAマイクロアレイを用いた網羅的解析を行った。その結果、PLEKHA5が関与する可能性が高いシグナル伝達経路を見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、MetによるPLEKHA5のチロシンリン酸化の機序と意義、PLEKHA5が関わるMet下流シグナル伝達経路の解明、マウスモデルや臨床サンプルを用いたPLEKHA5の生理機能及び病理機能の解析を行うことを目指している。今年度は、PLEKHA5の結合タンパク質を複数同定することができた。また網羅的解析からPLEKHA5が関与するシグナル伝達経路を見出した。これらはPLEKHA5の分子機能の解明に大きく寄与する成果であることから、本研究は順調に進んでいると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はさらに、MetとPLEKHA5の下流で働くシグナル伝達経路の解析を行い、結合タンパク質の解析と合わせて、PLEKHA5が関与するシグナル機構の全容解明を試みる。また、MetによるPLEKHA5リン酸化の機序と意義の解明を進めていく。さらに、胃がんの臨床サンプルを用いて免疫組織化学染色を行い、PLEKHA5の発現、リン酸化と臨床病理学的特徴及び予後との相関、Metの発現やリン酸化、遺伝子増幅との相関を検討する。またノックアウトマウスを用いた生理機能の解明も検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の進展状況を鑑み、動物実験やいくつかの受託解析を来年度に行うことにしたため
|