研究課題/領域番号 |
18K07223
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研究機関 | 地方独立行政法人佐賀県医療センター好生館(ライフサイエンス研究所) |
研究代表者 |
泉 秀樹 地方独立行政法人佐賀県医療センター好生館(ライフサイエンス研究所), ライフサイエンス研究所, 部長 (10397987)
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研究分担者 |
李 元元 地方独立行政法人佐賀県医療センター好生館(ライフサイエンス研究所), ライフサイエンス研究所, 研究員 (00392259)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | がん幹細胞 / CD133 / オートファジー |
研究実績の概要 |
CD133は、様々ながんにおけるがん幹細胞マーカーとして知られており、CD133陽性の細胞は、CD133陰性の細胞に比べて、 悪性度や薬剤抵抗性が高いことがわかってきているがその機能の多くが依然不明なままである。私たちは、CD133が細胞内局在変化とリンクしてオートファジー活性を制御していることを突き止めた。 (1) CD133が、どのようにして細胞膜局在から細胞質や中心体に局在するようになるのか、その輸送メカニズムの解明. 私たちは、細胞が低栄養状態に晒された時や、Srcによるリン酸化が低下した時に、CD133はエンドサイトーシスによって細胞内に取り込まれやすくなり、その結果、HDAC6とdyneinにアシストされて、微小管をマイナスエンドへ輸送され、最終的に細胞の中心体近傍に局在することを明らかにした。 (2) 中心体近傍に局在するCD133がどのようにオートファジーと関連しているのか、そのメカニズムとその生理的意義の解明. 中心体近傍に局在するCD133は、オートファジー開始の調節因子であるGABARAPをトラップしてしまい、その結果、GABARAPがULK1キナーゼに結合できにくくすることでオートファジーの活性化を抑制することがわかった。 さらに、中心体近傍型のCD133は、オートファジーを阻害することにより、一次繊毛形成や神経突起伸長などの細胞分化を抑制した。これらの結果から、中心体近傍型のCD133は、がん細胞を未分化状態に維持する上で重要な役割を果たすことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を開始するにあたって、周到な予備実験を行なっていたため、順調に研究計画を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
CD133が細胞内外の環境の変化によって細胞内局在が変化することがわかり、またオートファジーの活性を抑制することを見出しているので 、今後、どのようなメカニズムでこのような制御が行われるのか明らかにし、さらにCD133陽性細胞の不均一性について追求する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、2,242円と少額なので、翌年度分の助成金を合わせて適正に使用する予定である。
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