研究課題/領域番号 |
18K07234
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
坂上 倫久 愛媛大学, 医学系研究科, 講師(特定教員) (20709266)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | CUL3 / ユビキチンリガーゼ / タンパク質分解 / 血管新生 / 血管内皮細胞 |
研究実績の概要 |
腫瘍や心疾患など様々な病態進展に血管新生は重要な役割を果たしている。アバスチンなどの抗血管新生阻害剤は、がん縮小などの一定の治療効果を示し、血管新生制御の重要性は臨床においても日々高まっている。これまで我々は、新規血管新生制御分子としてCUL3を見出した。CUL3は血管新生を負に制御するタンパク質のユビキチン化と分解し、血管形成に重要な役割を担う。しかし、CUL3はヒトで183種存在すると報告されているBTBドメインを有するタンパク質(BTBP)を組み換えることで基質を選択するため、血管内皮細胞において果たす役割は多岐に渡っている。従って、CUL3を中心としたユビキチンシグナル機構の全体像はいまだ不明であり、更なる解析が必要である。当該年度においては、CUL3による血管内皮細胞細胞骨格制御に着目し、その基質タンパク質候補分子とアクチン重合制御分子について解析を進めた。前年度に実施したsiRNAライブラリーを用いたスクリーニングにより同定した細胞骨格制御タンパク質に対して、CUL3とともにダブルノックダウンさせたところ、CUL3ノックダウンで認められた細胞骨格異常としての表現型が部分的にレスキューされることが分かった。このことは、CUL3による血管内皮細胞の細胞骨格機構を説明する上で極めて重要である。さらに当該年度ではCUL3-BTBP複合体を機能破たんさせるマウスの樹立に成功し、本マウスにおけるCUL3の下流に位置する細胞骨格制御タンパク質の血管内皮細胞における局在性を解析しており、CUL3と細胞骨格異常をつなぐ分子メカニズムを動物レベルで明らかにしたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
siRNAライブラリーを用いたスクリーニングからの絞り込み実験とCUL3-BTBP機能阻害マウスの作成に時間を要したため、表現型解析に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで同定したCUL3シグナルの下流分子群について、遺伝子改変マウスを用いてin vivoでの解析を進める予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子改変マウスの作製に時間を要したため、次年度使用額が生じた。本年度では、当初の計画通り、動物実験を中心に予算執行する予定としている。
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