研究課題
基盤研究(C)
遺伝子改変により初期の大腸がんを再現するマウスモデル(Apc変異マウス)において、MyD88の働きを抑制すると、腸管腫瘍の数が大きく減少する。またこの時、Apc変異を持つ腸管腫瘍細胞の増殖が低下し、細胞死が引き起こされる。Apc変異を持つ腸管腫瘍細胞が細胞死を回避して生き残るためにはMyD88の働きが重要なこと、MyD88の下流ではHIF-1α、NF-κBやWnt経路が働いていることが明らかになった。
腫瘍生物学
大腸がんはがんの中でも患者数が多く、本邦の部位別がん死亡率をみると大腸がんは男性で第3位、女性では第1位であり、効果的な治療法が必要とされている。本研究の成果は、APC変異を持つ大腸がん細胞ではMyD88がアキレス腱となりうることを示しており、MyD88やその下流の因子の働きを阻害する化合物が開発されて臨床で使用できるようになれば、APC変異を持つ多くの大腸がんに対する新しい治療戦略につながることが期待される。