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2018 年度 実施状況報告書

鉄代謝経路の解析によるがん性悪液質新規治療法確立のための研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K07279
研究機関川崎医科大学

研究代表者

山根 弘路  川崎医科大学, 医学部, 准教授 (50624897)

研究分担者 瀧川 奈義夫  川崎医科大学, 医学部, 教授 (60325107)
越智 宣昭  川崎医科大学, 医学部, 講師 (80611615)
中西 秀和  川崎医科大学, 医学部, 准教授 (50309548)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードがん性悪液質 / ヘプシジン / 血清フェリチン値 / 血清CRP値
研究実績の概要

進行期がん患者の重篤な合併症である治療不応性癌性悪液質における炎症性サイトカインを介した鉄代謝機構(ヘプシジン-フェロポルチン系)を解析し、がん性悪液質の新規治療法の開発を目的として研究を開始した。動物実験とヒト検体の双方を用いた研究を考案しているが、進行期がん患者における癌性悪疫質の状態と炎症性サイトカイン、および鉄代謝機構の関連性についての前提条件を確認するため、まずは実臨床における患者血液検体を用いた研究を先行して開始した。川崎医科大学総合医療センター緩和ケア病棟で入院治療され、8日間以上生存することが可能であった進行期悪性腫瘍患者の血液検査から(n=132)、患者血清フェリチン値、血清CRP値 赤血球沈降速度について、それぞれ入棟時および入棟1週間後の測定値とその推移についてデータ収集した。入棟時の血清フェリチン値およびCRP値とその両者の推移は患者生存予後との相関を見た場合、入棟時の血清フェリチン値およびCRP値については負の、またこれら両者の1週間の推移については正の相関関係が明らかに存在することを確認した。
血中ヘプシジン25値については文書による同意を取得しえた16例の患者血液を用いて、ELISA法にて測定した。結果的に入院時ヘプシジン25値と患者生存期間との間には明らかな負の相関関係が存在し、3週間以内の死亡例におけるヘプシジン25値は3週間以上生存した患者グループと比較して有為に上昇していることを確認した。(8-21日:66.46ng vs 22日以上:29.98ng P=0.027)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まずは前提条件である炎症性サイトカインと癌性悪液質の因果関係について確認を急いだことから、2018年度はヒト検体を用いた研究を先行させて行った。
既報の如くで、治療不応性癌性悪液質と炎症性サイトカインや血中炎症性マーカー(特にCRPやフェリチン値)との間に因果関係が存在することが統計学的にも有為差を持って確認できたことは喜ばしい。研究の前提条件は確認できたが、次年度は本研究の本体ともいえる動物実験モデルの研究に移行して研究することとなるため、関係各所への連携を密にして研究を遂行したいと考えている。

今後の研究の推進方策

EGFR遺伝子改変マウスexon 19[15bp in-frame deletion (nucleotides 2242-2256) SP-C-Egfr mutant-SV40]については約20匹のマウスを確保し維持するためにかなりの労力を要することが想定されることから、研究補助員の雇用を急ぎ、動物実験施設での実験効率についても岡山大学第二内科研究室とも連携をとりつつ効率の良い実験体制を取りたいと考えている。またEGFR遺伝子改変マウスいがいにもXenograftモデルの使用についての見当も考慮しており、幅広い可能性の中で研究を進めることを視野に入れている。

次年度使用額が生じた理由

ヒト検体を用いた研究を先行させた結果、研究の本体部分である動物実験が次年度以降に繰り越されたことから、研究が前後しており、本来初年度に予定していた動物実験が2年目に、2年目に予定されていたヒト検体を用いた実験を初年度に行ったことから上記の会計となったが、研究自体は概ね順調に進んでいる。

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公開日: 2019-12-27  

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