研究課題
本研究は、消化器がんの中でも特に大腸がんにおける新規抗がん剤の治療効果に関する効果的なバイオマーカーの同定を目的とするが、効果予測バイオマーカーの同定に関する新しい方法論の確立を目指すものでもある。すなわち基礎研究から予測される候補バイオマーカーを臨床サンプルで非網羅的に検証することで、これまで一般的であった後ろ向き探索研究と比較して短い期間で信頼性の高いバイオマーカーを臨床の場に導入することを目標としている。我々はこれまでにがん細胞株の薬剤感受性に関する独自のデータベース JFCR39(がん細胞パネル)、及び、包括的トランスクリプトーム解析を用いてFTDの効果予測因子の候補を抽出した。次にTAS-102を投与される群(TAS-102群)、レゴラフェニブを投与される群(control)とで候補因子の治療中における血清学的定量を行った。その結果、候補因子の一部はTAS-102群においてpreclinicalと同様な結果を示し、control群では示さなかった。現在、TAS-102に血管新生阻害剤を併用する新たなコホートを集積し、先々validation解析を行う予定である。レゴラフェニブに関しては以前報告したCCL5/CCR5 signaling pathwayと予後予測についての関連する遺伝子多型について調査を行っている。さらに基礎データにより候補となった別なpathwayについても検討を行っている。
2: おおむね順調に進展している
予定臨床サンプル数の集積ならびに実験についてもほぼ予定通りに行われている。臨床サンプル集積にはさらに1年ほど時間を要する。観察期間も必要であり、最終的な解析は最終年度になると思われる。
引き続き、新規症例の集積を行なっていく。Pre clinical dataを用いて効果予測マーカーの臨床的意義を解明する。得られた成果に対して学会発表、論文発表を随時行う予定である。
(理由)ほぼ前年度の残額はなかった。サンプル数に対して使用する検査キットの購入額が、残額を上回っていたため。(使用計画)次年度分と合わせて検査キットを購入し、測定に使用する予定である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
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