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2018 年度 実施状況報告書

膵がん細胞を特異的に認識する放射性ナノ金属薬剤の合成および評価

研究課題

研究課題/領域番号 18K07281
研究機関国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

研究代表者

破入 正行  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 標識薬剤開発部, 研究員(任常) (80435552)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード放射性金属核種 / PET
研究実績の概要

本研究は、ナノ粒子系中に効率よく放射性核種で標識し、生体中低分子および生体高分子 を導入する方法を見出すことで今後の放射性ナノ薬剤の分子設計に役立つことを目的とする。今年度は主に放射性ナノ粒子の調製を試み、まずジルコニウム-89を用いた検討を行った。ジルコニウム-89を含むシュウ酸水溶液、よう化ジルコニウムをネオデカン酸ナトリウム水溶液に加えて反応を行った。反応液の一部にデスフェリオキサミンを加えてRadio-TLCにて反応を追跡したが目的物はほとんど得られなかった。ジルコニウム-89を含むシュウ酸水溶液を中和してから同様の操作を行ったがほとんど反応は進行していなかった。次に銅-64を用いた検討を行った。銅-64水溶液に塩化銅を添加し種々の還元剤を加えた検討を行った。反応液の一部にエチレンジアミン4酢酸水溶液を加えてRadio-TLCにて反応を追跡した。還元剤としてアスコルビン酸を用いて検討したところ銅-64が20%前後導入していることを確認した。またイオンクロマトグラフィーを用いた検定も併せて行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ジルコニウム-89と銅-64は当研究所で製造した。ジルコニウム-89はシュウ酸溶液に溶解したものを使用した。ジルコニウム-89溶液を超純水で希釈した放射能量370KBqとよう化ジルコニウム(1mM) をネオデカン酸ナトリウム水溶液(10mM)に加えた。反応の追跡は未反応のジルコニウム-89をデスフェリオキサミンで錯形成した後、TLC(展開溶媒:酢酸エチル)を用いて行った。反応温度および反応濃度を変化させて検討を行ったがジルコニウム-89の導入量は1%未満であった。次に銅-64を用いたナノ粒子の調製を検討した。銅-64水溶液を超純水で希釈した放射能量370KBqに塩化銅水溶液(1mM)を加えた。次に還元剤として、水素化ホウ素カリウム (2mM)、ヒドラジン(2mM)またはアスコルビン酸(5mg/mL)を添加し反応を行った。反応の追跡はエチレンジアミン4酢酸水溶液を用いて未反応の銅-64をTLCにて確認した。その結果、還元剤としてアスコルビン酸、反応温度60度、反応時間2時間で20%前後の銅-64導入量であった。遠心分離を行って沈殿物を超純水で洗浄する工程を2回繰り返し、化合物を得ることに成功した。

今後の研究の推進方策

ジルコニウム-89を用いたナノ粒子の調製について、コールド体のジルコニウムの種類を変えて検討する。具体的に酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウムまたはジルコニウムイソプロキシドを用いる。銅-64を用いたナノ粒子の調製はさらに銅-64導入量を向上するための検討および表面修飾の検討を行う。ナノ粒子に、アミノ基 またはチオール基を有するPEG鎖で表面を修飾する。アミノ基であればEDC法、チオール基で あればマレイミド法による導入、および非金属Click反応を用いた導入を行う。使用するペプチドとしては環状RGDペプチドおよび環状isoDGRを用いる。ナノ粒子への導入するための環状isoDGRの前駆体合成も併せて検討する。

次年度使用額が生じた理由

多種多様なペプチドおよびナノ粒子を合成するために高純度な試薬およびガラス機具などを購入する。さらに成果を発信するため論文発表および学会に参加する費用に使う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 小分子放射性薬剤211At-AITMの合成と評価2018

    • 著者名/発表者名
      破入 正行, 謝 琳, 藤永 雅之, 張 一鼎, 羽鳥 晶子, 峯岸 克行, 李 惠子, 諸越 幸恵, 長谷川 純崇, 永津 弘太郎, 張 明栄
    • 学会等名
      第58回日本核医学会学術総会

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公開日: 2019-12-27  

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