本研究は、ナノ粒子系中に効率よく放射性核種で標識した後、生体中低分子または生体高分子を導入する方法を見いだす。今後の放射性ナノ薬剤の分子設計に役 立つことを目的する。 今年度は64Cuのナノ粒子調製を主とした。今年度は64Cuのナノ粒子および銅ナノ粒子に211Atの導入検討を行なった。銅-64水溶液を超純水で希釈した放射能量37MBqに塩化銅水溶液(100 mM)とシクロデキストリン(5 mM)を加えた。次に還元剤として、アスコルビン酸(10mg/mL)またはアスコルビン酸ナトリウム(10mg/mL)を添加し反応を行った。遠心分離による洗浄を行った後末端にアミノ-PEG-チ オール(平均分子量10000)のPEG で修飾を試みた。水溶液中にそれぞれ混合し後、超音波で分散した。遠心分離を行って沈殿物を超純水で洗浄する工程を2回繰り返した。調製時間は三時間で64Cu導入量は10%前後であった。次に環状ペプチドであるisoDGRにマレイミド基を導入した化合物と混合した。導入量は40%であった。銅ナノ粒子(1mg /ml)にジアミノ基をもつ平均分子量10000のPEGをを加えた。遠心分離後 沈殿物を超純水で洗浄する工程を2回繰り返した。一部に3-トリメチルスズ安息香酸の活性エステル体を加えて反応を行なった。それぞれスズ体がある化合物とない化合物にAt/NCSのMeOH溶液とAt/Na2SO3のMeOH溶液を加えて標識反応を試みた。スズ体はAt/NCSのMeOH溶液で反応が進んだのに対して他は全く反応が進まなかった。
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