研究実績の概要 |
EBウイルス関連胃癌(EBVaGC)は、予後についてはまだ議論の分かれるところである。通常、EBVaGCはEBV由来のEBER1/2 small RNAのin situハイブリダイゼーションにより診断される。The Cancer Genome Atlas (TCGA) Stomach Adenocarcinoma (STAD)プロジェクトでは、EBV分子サブタイプは複数の次世代シーケンシング法(NGS)を組み合わせて決定されたが、ゴールドスタンダードのin situハイブリダイゼーション法では決定されなかった。このことは、異なるアプローチで検出されたEBV陽性率の不一致やシークエンシングリードのしきい値に関する疑問を残していると考えられる。そこで我々は375の腫瘍と32の正常サンプルを含むTCGA-STAD RNAシーケンシング(RNA-seq)データセットを、我々の解析パイプラインを使用して再解析し、3回のランダムなアラインメントでEBVゲノムにマッピングすることで、EBV由来のNGSリードの信頼できる閾値を定義した。胃がんの病理組織学的サブタイプに対するEBVの予後への影響についても分析し、再解析により同定された EBV 陽性症例は、浸潤リンパ球シグネチャとは独立していて、全症例のほぼ半数(49.6%)を構成し、全生存期間は、Adenocarcinoma, NOSでは有意に長く(P = 0.016, HR:0.476;95%CI:0.260-0.870)、Tubular adenocacinomaでは有意に短かかった(P=0.005;HR:3.329;95%CI:1.406-7.885)。RNA-seq解析から導かれたEBV陽性例では、胃がん患者の予後について、病理組織学的サブタイプに応じて異なる結果を示しており、予後予測に利用できる可能性を示唆した。
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