研究課題
これまでに作製に成功した抗HLA-B61とA24モノクローナル抗体に加えて, 新規の抗HLA-A33抗体、抗HLA-B54抗体産生細胞をサイトカインカクテルで刺激した患者末梢血から細胞アレイを用いて分離し、その細胞から抽出したDNAを用いて遺伝子組換えを行い、抗HLA抗体をクローニング、抗体発現ベクターを構築し、そのトランスフェクションによってモノクローナル抗体産生細胞候補を作製した。一方、大量作製法を確立した抗HLA-B61モノクローナル抗体を用いて免疫抑制療法が奏効しやすい再生不良性貧血患者の診断をルーチン検査として行っている。その結果を用いて、HLA-B61アレルロスを含むHLAロスを有する再生不良性貧血患者では免疫抑制療法が奏効すること(Haematologica 2020 May 21. doi: 10.3324/haematol.2020.247809)に加えて急性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群への移行リスクがないことを報告した(Blood. 2021 Mar 22:blood.2020010586. doi: 10.1182/blood.2020010586)。また、長期間分子遺伝学的完全寛解(molecular complete remission: mCR)を維持している多発性骨髄腫患者血清中に癌精巣抗原の一つであるSPAG8に対する抗体が検出された。SPAG8は正常血液細胞で細胞表面に発現がないが、3種類の骨髄腫細胞株(RPMI8226, AMO-1, U266)の細胞表面での発現が検出された。しかし、細胞表面でのSPAG8発現は培養条件によって発現が低下することがあり、この原因も解析中である。 さらに他の造血器腫瘍細胞株(K562)や前立腺癌細胞株(PC-3)でもSPAG8の発現を確認した。今後は、骨髄腫患者のB細胞を用いて抗SPAG8モノクローナル抗体を作製する予定である。
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Blood
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10.1182/blood.2020010586
Haematologica
10.3324/haematol.2020.247809