研究課題
ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy; BNCT)では腫瘍組織内のホウ素(10B)濃度が治療効果を予測する。BNCTでは腫瘍細胞に10Bを輸送する担体として、フェニルアラニン(PA)を10Bで標識したボロノフェニルアラニン(BPA)を用いるが、このBPAを放射性核種18Fで標識した化合物(FBPA)を用いてPET撮像を行えば、10Bの体内分布を可視化することができる。本研究では、腫瘍患者の血液中の10B濃度とPET画像から算出される血液プールの10B濃度の値を比較検証し、PET技術を応用した高精度定量10B濃度の推定法を確立することを目的とした。大学の臨床研究審査委員会に申請を行い、許可を得た後に、臨床研究を開始し、患者さんの臨床データを取得した。FBPA-PET画像のデータから推測される血液プールの放射能カウントと、撮像時の血液中の放射能カウントには相関関係がみられた。しかしながら、使用するPET-CT装置により、若干の過小評価もしくは過大評価されることが判明し、標準化に向けた取り組みがさらに必要なことがわかった。また、本研究の患者さんの臨床データから、一部の腫瘍は18F-FBPA PETの集積が低いため診断に限界はあるものの、多くの腫瘍で18F-FBPA PETの集積は可視化され、18F-FBPAから得られる付加的な情報は、腫瘍と炎症などの他病変と区別するのに役立つことが判明した。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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