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2019 年度 実施状況報告書

慢性腎不全に関わる尿毒症物質のがん治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 18K07308
研究機関公益財団法人がん研究会

研究代表者

右田 敏郎  公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター 分子生物治療研究部, 研究員 (20462236)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード尿毒症物質 / がん
研究実績の概要

尿毒症物質は腎不全により体に蓄積し、生体に様々な有害事象を引き起こす物質の総称である。本研究の目的は尿毒症物質の中から、がん細胞の増殖や転移を直接抑制する働きを持った物質を同定することにある。まず始めに、人工透析を受けている患者血清のがん抑制効果をin vitro実験によって実証する。次に、動物実験では慢性腎不全のヌードマウスを作成して、ヒトがん細胞株の皮下移植によるゼノグラフトの造腫瘍能をコントロールのマウスと比較する。最後に、患者血清のメタボローム解析と既存のデータベースより抗がん効果を有する尿毒症物質の候補を絞っていく。
本年度は、がん研究会の倫理審査委員会にて承認された研究計画書に基づいて、腎臓がんを含むいくつかのヒトがん細胞株を10%ウシ胎児血清にて培養し、安定的に継代できることを確認した。次に、明らかに腎不全がないと確認されている研究参加者の血液を遠心分離によりヒト正常血清を得た。10%正常ヒト血清にてヒトがん細胞株を通常培養し、その増殖能を調べる予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で実験が中断している。さらに、慢性腎不全のために定期的に人工透析治療を受けている患者のうち、研究計画書の基準に合った血清サンプルを待機中であるが、今のところまだ入手できていない。諸事情にて現在の連携病院からの患者検体が入手困難であることがわかってきたため、入手先を他のクリニックなどに広げる方針とした。研究計画書の修正と倫理審査委員会の承諾を得るための準備を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究が遅れている最大の理由は臨床検体が入手できていないことである。臨床検体を入手する予定の共同研究者が転勤することになり、後任者に引き継がれることになったが、検体の移送方法などの打ち合わせが停滞している。本研究は臨床検体を使用したin vitroの実験の結果により、その後の実験の方向性が決まるため、先に進んでいない。
新型コロナウイルス感染症の影響により在宅勤務となったため、ウェットの実験が完全に止まってしまったことも大きい。

今後の研究の推進方策

臨床検体を入手するために共同研究先を増やす必要がある。症例が多く、比較的検体が入手しやすいクリニックなどとの共同研究を進めるべく、研究計画書を修正し改めて倫理審査委員会の承諾を得る。
臨床検体を入手するまでの間に、正常ヒト血清入りの培地でがん細胞株を培養し、通常のウシ胎児血清入りの培地の場合と増殖能を比較してみる。
文献などから、公表されている尿毒症性物質のうち、可能性のある物質を購入し、がん細胞の増殖能に与える影響を調べる。
In vivo実験として、ヌードマウスに0.25%アデニン含有飼料(AIN-93G準拠)を3週間与えて慢性腎不全のモデルマウスを作製する。皮下にヒトがん細胞株を移植し、増殖能を調べる。

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公開日: 2021-01-27  

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