研究課題
基盤研究(C)
がん微小環境は小胞体ストレスが蓄積しやすい環境であり、小胞体ストレス抵抗性の獲得は重要ながん進展機構の一つである。本研究では、小胞体ストレス下で、活性型X遺伝子がアポトーシス促進性のBim発現誘導を抑制することによって、小胞体ストレス抵抗性を賦与することを明らかにした。さらに、小胞体ストレス抵抗性を解除する化合物のスクリーニングから、核外輸送を担うexportin-1の阻害が小胞体ストレス抵抗性の解除に繋がることを見出した。
腫瘍生物学
小胞体ストレス抵抗性化機序の解明とそれに対する阻害剤の同定は、がん遺伝子Xの増殖シグナル阻害とは異なる作用機序に基づいたがん治療法の確立やX活性化変異がんに特徴的な病態の理解に繋がることが期待される。各種活性型がん遺伝子特有のストレス適応機構を明らかにできつつあり、今後の治療標的化研究への展開に重要な示唆を与えるデータが得られたと考えている。