研究課題
静岡県環境衛生科学研究所において大量合成された高品質のリード化合物Aを用いて種々の評価を行った。前年度報告した化合物Aの免疫学的な作用解析結果をもとに、ヒト化マウス移植ヒトリンパ腫SCC-3系を使用したT細胞のin vivoブロッキング試験において、抗CD4または抗CD8抗体処理により化合物Aの抗腫瘍効果が抑制された。従って、化合物Aの抗腫瘍効果はT細胞依存性の抗腫瘍免疫応答に基づくことが示唆された。化合物Aの抗腫瘍活性について、BMS-202よりもPD-1/PD-L1結合阻害活性が強いことが報告されているBMS-1166(Oncotarget, 8, 72167,2017)や免疫チェックポイント阻害抗体(ニボルマブ、アテゾリズマブ)との比較試験をヒト化マウス移植SCC-3系において行った結果、化合物Aは阻害抗体やBMS-1166よりも腫瘍の増殖抑制活性が強かった。また、化合物Aは、主要臓器に及ぼす影響についても検索したが、特徴のある所見は得られなかった。我々は前年度の報告において、BMS-202の抗腫瘍作用メカニズムにおいてオフターゲットが存在することを示唆した。そこで、化合物Aのオフターゲットの存在についてヒトキナーゼに対する低分子化合物をスクリーニングする評価系で検討したが、既に報告されている選択的なキナーゼ阻害剤の作用に比べて特異性はなかった。以上のようにPD-1/PD-L1結合阻害剤化合物Aは、経口投与においてヒトの免疫システムを介した評価系等において腫瘍の縮小効果を認めるとともに全身毒性が弱いことが示唆された。これらの結果を踏まえて特許出願(特願2021-045476)を行った。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (5件) 産業財産権 (1件)
BMC Cancer
巻: 21 ページ: 181
10.1186/s12885-021-07899-1
Anticancer Res
巻: 40 ページ: 6473-6484
10.21873/anticanres.14669.
J Radiat Res.
巻: 61 ページ: 766-775
10.1093/jrr/rraa041.
Cancer Sci.
巻: 111 ページ: 3893-3901
10.1111/cas.14572.
Org. Lett
巻: 22 ページ: 3820-3824
10.1021/acs.orglett.0c01063
J. Nat. Med.
巻: 74 ページ: 750-757
10.1007/s11418-020-01429-2
Xenobiotica
巻: 50 ページ: 1510-1519
10.1080/00498254.2020.1786189
International Journal of Molecular Sciences
巻: 21 ページ: 5909
10.3390/ijms21165909