トリプルネガティブ乳がんの病態を解明するために、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)14症例およびエストロゲン受容体陽性乳がん8症例の臨床検体を用いて、ロングリードシーケンサーによる網羅的全長RNAシーケンスを行った。乳がんにおける転写産物の全体像を明らかにし、いくつかの遺伝子においてはサブタイプ特異的な転写アイソフォームを同定した。特に、細胞骨格の制御に関わる遺伝子TNS3の新規転写バリアントがTNBC特異的に発現し、その病態に関わることを明らかにした。また、染色体構造異常の結果として内在性レトロウイルス遺伝子ERVFRD-1の発現が脱抑制するという新たな免疫回避のメカニズムを発見した。
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