研究課題/領域番号 |
18K07324
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
市川 康明 (竹内康明) 岡山大学, 中性子医療研究センター, 教授 (30126833)
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研究分担者 |
道上 宏之 岡山大学, 中性子医療研究センター, 准教授 (20572499)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ホウ素中性子捕捉療法(BNCT) / ホウ素薬剤 / グルコース / グルコース輸送体 / 悪性脳腫瘍 / 中性子 / アミノ酸輸送体 / 癌治療 |
研究実績の概要 |
ホウ素中性子捕捉療法は、がん細胞選択的にホウ素薬剤を取り込ませ、同部位に中性子照射を行い、ホウ素と中性子の核反応により細胞選択的な腫瘍細胞殺細胞効果を誘導する、がん治療法である。2020年3月に病院設置型加速器中性子源及びホウ素薬剤(BPA)が承認され、令和2年はBNCT医療元年となる。再発頭頚部癌にてBNCTの医療承認がされ、さらに再発悪性神経膠腫での認可が間近とされている。病院内中性子源の照射しシステムが構築されて中において、BNCTの効果はホウ素薬剤の腫瘍局在分布に大きく依存することは間違いない。これまでの粒子線治療(陽子線治療・重粒子線)とは異なり、その治療効果は既存のホウ素薬剤BPAや今後登場するホウ素薬剤により、決定されるといっても過言ではない。これまで我々は、既存のホウ素薬剤(BPA)とは異なる、グルコース輸送体を標的とした新規のホウ素薬剤開発に取り組んでおり、さらに、細胞内局在にも配慮した、新しいホウ素薬剤戦略構築にも取り組んでいる。グルコース輸送体は、癌診断・がん治療において最も重要やな区割りを持つ18F-FDG-PET(フルデオキシグルコース)の標的として古くより研究開発が進んできた。グルコース輸送体特異的に取り込まれる、グルコース結合ホウ素薬剤なども、これまで多く発表されてきており、一部は臨床試験にも用いられている。今回、新規ホウ素薬剤開発の研究結果と共に当たらく対象となるBNCT対象疾患に関する検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新規のホウ素薬剤開発を行い、特許取得を行った。 新規ホウ素薬剤を悪性脳腫瘍に対して投与行い、中性子照射を施行し、殺細胞効果を確認した。 新規ホウ素薬剤開発に関して、計画以上のペースで成果を確認し、非常に順調なプロジェクトの進捗が見られる。
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今後の研究の推進方策 |
グルコース輸送体(Glut)による細胞内導入確認目的にて、Glut阻害薬投与下での細胞内取り込み抑制効果の検討、培養液中のグルコース濃度変化による細胞内取り込み効果の検討を行う。細胞内取り込みは、細胞内ホウ素濃度測定のICP(発光分光分析装置)にて評価する。Glutの悪性腫瘍横断的な公開データによるmRNAレベルの発現比較を行う。薬剤の各細胞培養液グルコース濃度における毒性を評価し、毒性のない範囲内での細胞内取り込み評価を3種類の異なるヒト悪性脳腫瘍細胞株にて行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(次年度使用が生じた理由) 特許出願に使用した費用が想定していたよりも少額であったこと。京都大学複合原子力科学研究所による、中性子照射の回数が、想定したよりも少ない割り当て回数であり、中性子照射実験に使用する費用が想定よりも少額であったこと。海外での旅費を計上していた国際学会が招待講演となり、学会より旅費・学会費の負担があり、今会計上の費用が少額であったこと。 (次年度の使用計画) Glut阻害薬投与下での細胞内取り込み抑制効果の検討、培養液中のグルコース濃度変化による細胞内取り込み効果の検討を行うにあたって、必要な試薬等の購入費用にあてる。動物実験にて使用する動物購入費用に充当する。
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