研究実績の概要 |
胆管癌組織検体において,がん遺伝子である各ムチン遺伝子のDNAメチル化状況をバイサルファイトアンプリコンシークエンス(BSAS)パネルを次世代シークエンサーを用いて行い,対応する組織におけるmRNA発現量や悪性度との関係性を評価を目的とした. 新規開発したBSASパネルは,すべての標的遺伝子において,そのメチル化DNA・脱メチル化DNAの混合比率に対して高い相関係数を示した.このことから,14遺伝子に対応したマルチプルPCRによるアンプリコンにより高い解像度で解析が可能であることが示された.またBioinformaticsに適したシークエンスデータの解析パイプラインの構築を行った. 上記BSAS解析パネルを用いて125症例の胆管癌組織検体より腫瘍部・非腫瘍部を採取し標的遺伝子のメチル化解析を行った.MUC1, MUC2, MUC4, TMEFF2, Choline transporter 遺伝子において腫瘍部・非腫瘍部間において脱メチル化状況に有意差があることを明らかにした.加えて,ECAD, MGMT, AQP1遺伝子において腫瘍部・非腫瘍部間にはメチル化の有意差の無かったものの,腫瘍部・非腫瘍部の両方の領域においてメチル化とその予後に有意差を示した. 今回新規開発したBSASパネルにおける標的遺伝子には,胆管癌腫瘍部・非腫瘍部間に有意差があり発がんマーカーに適しているものと,メチル化と胆管癌摘出術後予後に関連を示す術後予後リスクマーカーに適したものがあると考えられる.
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