研究課題/領域番号 |
18K07332
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
藤澤 聡郎 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50627346)
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研究分担者 |
伊佐山 浩通 順天堂大学, 医学部, 教授 (70376458)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | IL-13Rα2 / EUS-FNA / 膵臓癌 / 化学療法 / gemcitabine / 予測因子 |
研究実績の概要 |
前年度までの検討で手術検体でのIL-13Rα2の発現評価と膵癌診断時のEUS-FNAの生検検体によるIL-13Rα2の発現を主に免疫染色で解析すると約90%以上の症例で双方の発現は一致していた。そのため手術検体でなくてもEUS-FNAの生検検体で腫瘍のIL-13Rα2の発現が評価でき、診断の極初期から治療効果や予後予測のバイオマーカーとして使用できる可能性がある。我々は新規膵癌患者のEUS-FNA検体を用いてIL-13Rα2の発現を免疫染色で評価し、それぞれの症例をIL-13Rα2低発現群と高発現群に分類し、化学療法の治療効果がIL-13Rα2の発現により異なるかを検討した。132例を対象とした検討では低発現群より高発現群において無増悪生存期間・全生存期間ともに有意に短かくなっていた。この結果はCancersに発表した手術検体におけるIL-13Rα2の発現が生命予後と逆相関することをサポートする結果であった。また化学療法の効果に関しては、治療後3か月での腫瘍増大率を検討したところ、低発現群より高発現群で有意に増大傾向にあった。また化学療法に影響を与える他の因子と化学療法耐性に関して多変量解析すると、IL-13Rα2高発現が最も有意な因子として示された。このことよりIL-13Rα2は主にGemcitabineをベースとする化学療法の治療抵抗性に関与しており、治療前にIL-13Rα2の発現を確認することは化学療法の効果を予測しうると考えた。またIL-13Rα2の発現を抑制することが化学療法の効果の改善につながる可能性があるため引き続きIL-13Rα2の発現を強く抑制するSmall moleculeの探索を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19のパンデミック、それに引き続く緊急事態宣言の発出により、研究資材の供給の遅れ、人的資源の不足が生じ、当初の予定より遅延が生じた。また検討の過程でIL-13Ra2による抗癌剤抵抗性の増加など新たな知見も得られたため、その検討も併せて行っている。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19パンデミックにより全体的に研究の進行が遅れているが、着実に研究結果が出ている。ポリフェノールや新規に見出したIL-13Rα2発現抑制薬を用いた動物実験は結果の確認実験を行っているところである。臨床検体を用いたIL-13Rα2の発現解析で予後や治療に関連する興味深い結果が得られているため、同時並行して臨床サンプルの解析も行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19が原因で研究が遅延しているため。PCRの試薬の購入等に使用する予定。
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