研究課題
近年、個別(プレシジョン)医療の推進と共に、次世代の治療法としてがん免疫療法が注目されている。がん病態は、がん細胞の由来や遺伝的因子による個人差により多様であり、免疫状態も多様である。がん免疫治療の現状は、治療が効果的である場合とそうでない場合があり、治療継続の判断が難しい。そこで、病態に合わせた奏功的な治療のために、免疫状態を正しく評価する指標(バイオマーカー)を同定し、治療効果の評価系を確立することが急務である。私たちは免疫状態を評価する「抗原受容体可変部の遺伝子レパトローム解析法」を確立した。具体的にはB細胞もしくはT細胞をシングルセルレベルに単離し、RT-PCR法にて、個々の細胞が発現している抗原受容体(BCRもしくはTCR)の可変部領域の遺伝子配列と、二量体のペアリングを決定する方法であり、レパトローム(レパトア+オミックス)解析法と命名した。マウスリンパ腫細胞株E.G7-OVA細胞を皮下移植し、腫瘍体積の増加を測定した。経時的に末梢血中のB220陽性細胞とCD4陽性細胞の存在比が変化した。それらのBCRとTCRa/bの可変部配列についてレパトア解析を行ったところ、9日目では特定の可変部V断片の使用頻度が変化していた。これまでに、可変部遺伝子断片を重鎖はIgG定常部と、軽鎖はIgk 定常部と融合できるようにデザインした発現ベクターと、軽鎖の可変部と重鎖の可変部をリンカーで融合したscFv-Fc発現ベクターに組み込み、培養細胞に遺伝子導入し、人工抗体として培養上清に発現することに成功した。今年度は、新たにTCRの可変部ドメインとIgG1定常部をリンカーで融合したscTCR-Fc発現ベクターの作製に成功した。
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https://researchmap.jp/tsuijimak
https://www.researchgate.net/profile/Makoto-Tsuiji
https://orcid.org/0000-0002-5607-4880
https://loop.frontiersin.org/people/1498398/overview