研究実績の概要 |
本年度は、EGFR-TKI 曝露後の超早期の時期に、in vitro で、がん細胞内でどのようなシグナルが活性化しているかについて、さまざまな EGFR 変異陽性肺がん細胞株(HCC4006, HCC827, H3255, PC-9, H1975)を比較しつつ検討をおこなった。その結果、細胞株によって、EGFR-TKI 曝露後超早期の時期に生じるシグナル活性化に差異があることを同定した。CD44をノックダウンした HCC4006 細胞株についても、親株と比較した検討をおこなった。これらの解析の中で、同一細胞株であっても、EGFR-TKIの種類によってその反応が異なるという現象も経験し、現在、その分子メカニズムを探索中である。 また、新規 EGFR-TKI である tarloxotinib を用いた感受性解析、獲得耐性機序の解析も並行しておこなった。現在、分子標的治療の効果が低いとされている EGFR exon 20挿入変異を有する肺がんモデルや、HER2変異肺がんモデルを用いた解析をおこない、Tarloxotinibがこれらの肺がんに対して有効である可能性を示すとともに、生じる可能性のある獲得耐性機序も同定した。これらの結果は2ヶ所の国際学会にて発表した(Suda K, et al. AACR Annual Meeting 2019, Suda K, et al. 2019 World Conference on Lung Cancer, Koga T and Suda K, et al. 2019 World Conference on Lung Cancer)。 さらに、臨床データを用いた研究として、がん免疫治療のバイオマーカーであるPD-L1発現とCT画像所見の関連について検討し、原著論文として発表した(Suda K, et al. Biomolecules 2019)。
|