研究実績の概要 |
昨年度までに終了できなかった「臨床検体におけるCD44発現のheterogeneityと獲得耐性機序予測の可能性」について解析を完了し、結果を公表した(Suda K, et al. 2021 WCLC)。肺腫瘍と所属リンパ節転移巣でCD44発現レベルは同程度だった(inter-tumor heterogeneityは乏しい)ものの、耐性機序予測についての有用性は示されなかった。 また近年、新規分子標的薬の臨床応用が期待されている HER2 exon 20挿入変異やKRAS G12C変異について、それぞれの分子標的薬に対する獲得耐性機序を解析・同定し、報告した(HER2 exon 20挿入変異: Koga T and Suda K, et al. Transl Lung Cancer Res 2021および KRAS G12C: Koga T and Suda K, et al. J Thorac Oncol 2021)。 さらに、稀に肺がんの実臨床でみられる、充実成分を主体とした肺がんにも関わらずFDG-PET検査にて異常集積が乏しい肺がん(“枯れた肺がん”とも呼ばれる)についても検討をおこない、このような肺がんでは EGFR遺伝子変異の頻度が高いこと同定し、報告した(Suda K, et al. Clin Lung Cancer, 2022)。 この他、昨年度までの研究で、EGFR-TKIに対する初期の薬剤不応性(drug tolerance)に RYK分子が関わっていることを同定し報告していた。EGFR-TKIに対する drug tolerance の分子機序については近年報告が相次いでいたが、それらを包括的にまとめた文献はなかった。このため、drug toleranceについて総合的にまとめた総説を執筆し、発表した(Suda K, et al. Cells 2021)。
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