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2018 年度 実施状況報告書

大腸がん幹細胞の安定維持・可塑性制御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K07337
研究機関公益財団法人がん研究会

研究代表者

馬島 哲夫  公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター 分子生物治療研究部, 主任研究員 (30311228)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードがん幹細胞 / 可塑性 / 大腸がん / CD44
研究実績の概要

大腸がん幹細胞のマーカー分子としてCD44およびLgr5が知られている。ヒト大腸がん細胞株において、フローサイトメトリーによりCD44陽性細胞および陰性細胞を分離した。CD44陽性細胞は、CD44陰性細胞に比べ、がん幹細胞の性質である高い腫瘍形成能を示した。また遺伝子発現解析により、CD44陽性細胞は、Lgr5をはじめとする幹細胞関連遺伝子群を高発現していることがわかった。CD44陽性、陰性細胞を分離後に、継続培養すると、陽性から陰性、陰性から陽性細胞への変換性(可塑性)が観察された。我々は、このがん幹細胞性を示すCD44陽性細胞中の細胞多様性を見るため、さらに、細胞のsingle cell クローニングを行い、解析した。その結果、長期間安定に維持され、腫瘍形成能の高いCD44+stable細胞、及び、CD44陰性細胞への変換性が高く、腫瘍形成能も低いCD44+transient 細胞が存在することがわかった。 がん幹細胞の安定維持に寄与する分子を探索するため、遺伝子発現解析を行い、siRNA等による機能的検証を行った。その結果、CD44+stable細胞に高い発現を示す2つの幹細胞関連遺伝子XおよびYを絞り込み、そのsiRNAないし選択的阻害剤処理により、CD44陽性細胞から陰性細胞への変換が促進することを見出した。以上の解析により、大腸がん幹細胞は非がん幹細胞との可塑性を有すること、がん幹細胞分画においても安定性の異なるサブフラクションが存在することを見出し、さらにその可塑性を制御する候補因子を同定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、初年度である本年度は、まず、ヒト大腸がん細胞株において、がん幹細胞性を示すCD44陽性、陰性細胞より分離した安定維持細胞と不安定な細胞を用い、選択的な発現の見られる遺伝子等を抽出することを計画した。これについては、予定通りに遂行を完了した。また、遺伝子発現解析から得られた候補因子について、siRNA サブライブラリーを構築し、同分子を抑制することにより、CD44陽性細胞から陰性細胞間への変換が促進されるものを探索することを計画した。この部分についても、siRNAに加え、阻害剤も用いることにより、想定した効果を示すものを同定することができた。

今後の研究の推進方策

前年度までに同定された候補因子については、同遺伝子産物を認識する抗体を入手ないし取得する。そのうえで、同因子については、複数のsiRNAないしshRNAによるノックダウンによる機能的検証を進める。さらに、CRISPR-Cas9によるノックアウト(KO)細胞の樹立、全長遺伝子のクローニングと過剰発現(OE)細胞の樹立を行う。これらの細胞について、CD44陽性―陰性変換、in vivoにおける腫瘍形成能を調べ、同因子のがん幹細胞性維持における役割を検証する。さらにKO 細胞やOE 細胞における遺伝子発現解析を行い、得られたデータを用い、Gene set enrichment analysis等の発現データ解析により、下流のシグナル伝達経路を推定し、また検証を行う。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Phase II trial of biweekly cetuximab and irinotecan as third-line therapy for pretreated KRAS exon 2 wild-type colorectal cancer.2018

    • 著者名/発表者名
      Osumi H, Shinozaki E, Mashima T, Wakatsuki T, Suenaga M, Ichimura T, Ogura M, Ota Y, Nakayama I, Takahari D, Chin K, Miki Y, Yamaguchi K
    • 雑誌名

      Cancer Sci

      巻: 109 ページ: 2567-2575

    • DOI

      10.1007/s10637-019-00749-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Gene Polymorphisms in the CCL5/CCR5 Pathway as a Genetic Biomarker for Outcome and Hand-Foot Skin Reaction in Metastatic Colorectal Cancer Patients Treated With Regorafenib.2018

    • 著者名/発表者名
      Suenaga M, Schirripa M, Cao S, Zhang W, Yang D, Ning Y, Cremolini C, Antoniotti C, Borelli B, Mashima T, Okazaki S, Berger MD, Miyamoto Y, Gopez R Jr, Barzi A, Lonardi S, Yamaguchi T, Falcone A, Loupakis F, Lenz HJ
    • 雑誌名

      Clin Colorectal Cancer

      巻: 17 ページ: e395-e414

    • DOI

      10.1016/j.clcc.2018.02.010

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 胃がんの薬剤耐性に寄与するCD44v陽性細胞を標的とする化合物のin silico探索2018

    • 著者名/発表者名
      馬島哲夫 , 岩崎里紗, 川上隆兵, 清宮啓之 他
    • 学会等名
      第22回日本がん分子標的治療学会学術集会
  • [学会発表] Targeting colorectal cancer stem-like CD44-positive cells by tankyrase inhibitors2018

    • 著者名/発表者名
      Tetsuo Mashima, Myungkyu Jang, Hiroyuki Seimiya
    • 学会等名
      14th Japan-Korea Joint Symposium on Cancer and Aging Research
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] In silico screening for agents targeting drug-tolerant CD44v-positive cells in patient-derived gastric cancer.2018

    • 著者名/発表者名
      Tetsuo Mashima, Risa Iwasaki, Koshi Kumagai, Ryuhei Kawakami, Takeshi Sano, Kensei Yamaguchi, Hiroyuki Seimiya
    • 学会等名
      第77回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] Targeting colorectal cancer stem cells by tankyrase inhibition2018

    • 著者名/発表者名
      Tetsuo Mashima, Hiroyuki Seimiya
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会
    • 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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