研究課題
これまでに、アクチニン-4(ACTN4)が非小細胞肺がんの術後補助化学療法の効果を予測できるバイオマーカーであり、ACTN4タンパク質の発現が細胞の浸潤・転移能と関係していることを明らかにしてきた。本研究では、このACTN4の細胞における浸潤・転移能への寄与ついて、分子レベルでの解析を行なっている。ACTN4の野生型と2種の変異体(家族性糸球体硬化症の原因変異体と高悪性度肺神経内分泌腫瘍に特異的な選択的スプライシングからできる変異体)の組換えタンパク質を作製し、それぞれのタンパク質とアクチンフィラメントの結合を、表面プラズモン共鳴法(SPR)による測定および原子間力顕微鏡での観察を行った。SPRでは、ACTN4の野生型と2種の変異体の間で、結合・解離の速度が異なり、それによってアクチンへの結合量が変化していることがわかった。原子間力顕微鏡では、ACTN4とアクチンがダイレクトに結合している像を得ることができ、さらに動画で撮影することに成功したので、結合・解離の様子を画像から解析することができた。これらの結果から、ACTN4の野生型および2種の変異体の間での結合様式の違いを見ることができた。またin vitroリン酸化を行える系を確立し、ACTN4がEpidermal growth factor receptor (EGFR)により直接リン酸化されることを見つけた。生きた細胞内でのタンパク質-タンパク質の結合を測定できる生物発光共鳴エネルギー移動(Bioluminescence resonance energy transfer : BRET)法の実験系を作製し、生細胞内においてACTN4とEGFRが直接結合(または近接)していることを明らかにした。さらに、ACTN4のリン酸化模倣タンパク質を作製し、アクチンとの結合性を調べた。リン酸化模倣体は元のタンパク質よりもアクチンとの結合性が上がっていた。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)
J Cancer
巻: 11 ページ: 2318-2328
10.7150/jca.37503
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