研究課題/領域番号 |
18K07346
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
熊野 弘紀 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (40568325)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 意思決定 |
研究実績の概要 |
環境に応じて柔軟に判断を切り替えるタスクスイッチの能力はヒトを含む霊長類で特に発達した認知機能である。本研究では、認知制御に重要な前頭連合野が、判断に必要な情報を収集する過程を、環境に応じてダイナミックに制御することで判断の切り替えを実現しているという仮説を検証する。 2019年度では、2018年度にて計測したECoG信号の解析をさらに進めた。単純な線形サポートベクターマシンを使うと眼窩前頭皮質において少数の実験で課題ルール信号を解読できたが、その情報量は低かった。解析を進めた結果、広範な前頭連合野において安定した課題ルール信号は解読されなかった。神経活動の解読手法をさまざまに改善する必要があると示唆される。 また、今年度は、本研究で用いるタスクスイッチ課題の遂行に必要な感覚情報を表現している視覚野(MT野)の活動がどう行動に影響するかを明らかにするためにMT野における微小電気刺激実験を行った。その結果、MT野において課題ごとに感覚ニューロン群を用意して、課題によってその出力を制御していることによってタスクスイッチが行われていることが分かった。この出力制御を前頭連合野が行っていると示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前頭連合野における課題ルール信号の解読精度が予想していたよりも低かったため。解読手法に改善の余地はあるが、本タスクスイッチ課題では、前頭連合野に負荷がかかっておらず前頭連合野の寄与が低い可能性もあると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
さまざまな解読手法をためして前頭連合野ECoG信号の解析を進める。また、MT野における微小電気刺激実験の結果も組み込んで多層人工神経回路の構築・解析も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
広い範囲の前頭連合野からECoG信号を計測し、有意な課題ルール信号を記録できた領域において、多点電極を埋め込む予定であったが、いまだ有意な信号を解読できていないため、留置手術のためのインサーターを購入しなかった。引き続き場所の検討を行う。また、サルの行動実験に用いているシステム(TEMPO)が今年いっぱいで販売・サポートが終了するため、新規システムの購入にも用いる可能性がある。
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