研究課題/領域番号 |
18K07348
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
長田 貴宏 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00456104)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | fMRI / 機能的磁気共鳴画像法 / 視床下部 / TMS / 経頭蓋磁気刺激法 / 前頭葉 / 機能的結合性 |
研究実績の概要 |
本研究では、食欲調節に関わる視床下部-大脳皮質神経ネットワークの解明を目的としている。まず、ヒト視床下部-大脳皮質ネットワークの同定という第1の目標に向け、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)による高空間解像度計測を行った。この計測において同一被験者によるデータ取得を繰り返し行うことにより、より高い精度での各被験者の安静時機能的結合性の同定が可能となった。視床下部の機能的分割法(Osada et al., Neuroimage, 2017)を拡張し、fMRIデータから視床下部の機能的分割を個人レベルにおいて行い、核の同定をした。そして、同定された核それぞれとネットワークを形成している大脳皮質領域を同定した。 また、視床下部の乳頭体と皮質下領域との間の神経ネットワークについてfMRIにより同定し、論文を投稿中である(Tanaka et al., submitted)。 さらに、視床下部-大脳皮質神経ネットワークに対しての介入手法として用いる経頭蓋磁気刺激法(TMS)について、刺激を行った際、効果が及ぶ空間的範囲をfMRIにより推定する方法を開発し、成果を学術雑誌PLOS Oneに報告した(Tamura, Osada et al., PLOS One, 2019)。また、前頭葉に対してTMS刺激を行う際、一部の領域について被験者よっては不快感のため実験継続ができないということがあるが、その領域についての不快度・実験継続可能性のマッピングを行い、成果を学術雑誌PLOS Oneに報告した(Han et al., PLOS One, 2019)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究での第1目標であるヒト視床下部-大脳皮質神経ネットワークの同定に向けて、1.25mmボクセルでの高空間解像度fMRI計測を行い、個人レベルでの視床下部の核同定を行った。この計測では同一被験者によるデータ取得を繰り返し行うことで、より高い精度での各被験者の安静時機能的結合性の同定が可能となった。視床下部の機能的分割法(Osada et al., Neuroimage, 2017)を拡張し、安静時機能的結合性から、個人レベルでの視床下部の機能的分割を行い、視床下部の核の同定を行った。同定された核それぞれと機能的結合性をもつ大脳皮質領域を同定し、視床下部核―大脳皮質のネットワークについて分析を進めた。 また、視床下部核以外にも、乳頭体に対し、乳頭体-皮質下領域神経ネットワークの分析を進めた(Tanaka et al., submitted)。 上記の視床下部-大脳皮質神経ネットワーク、乳頭体-皮質下領域神経ネットワークの同定・分析を進めるとともに、介入手法として用いるTMS法を用い、(1) 刺激を行った際、効果が及ぶ領域の空間的範囲をfMRIにより推定する方法を開発し(Tamura, Osada et al., PLOS One, 2019)、(2) 前頭葉刺激に対しての不快度・実験継続可能性のマッピングを行った(Han et al., PLOS One, 2019)。以上のように、fMRIによる脳ネットワーク分析、ならびに因果的影響の検証のために用いるTMSでの介入についての研究成果を重ねてきている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度行ってきたヒト視床下部-大脳皮質ネットワークの同定を引き続き進めていくとともに、TMS法での介入における影響の検証をさらに進めていく。これらの成果をまとめ、学術雑誌への原著論文の投稿・発表を予定している。また、得られた成果は、研究室のウェブページやプレスリリースなどを用いて、積極的に社会に発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
他予算の都合により、備品購入などに変更が生じた。また、研究補助について計上していた人件費の執行についても変更が生じた。そのため、一部使用予定を変更し、次年度に使用するようにした。
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