研究実績の概要 |
本研究は、食欲調節に関わる視床下部-大脳皮質神経ネットワークの解明を目的としている。視床下部の機能的分割法(Osada et al., Neuroimage, 2017)を拡張し、高空間解像度1.25mmボクセルでの安静時機能的磁気共鳴画像法(fMRI)データから視床下部の機能的分割を個人レベルで行い、視床下部核を同定した。そして、同定された核それぞれとネットワークを形成している大脳皮質領域を同定した。また、視床下部核-大脳皮質の機能的結合性パターンを使うことで、世界で広く用いられている2mmボクセルでのfMRIデータにおいても視床下部核を同定することが可能であることを示した。以上の成果を学術雑誌Neuroimageに報告した(Ogawa et al., Neuroimage, 2020)。 また、視床下部の乳頭体と皮質下領域の間の神経ネットワークをfMRIにより同定し、さらに乳頭体外側領域と内側領域それぞれが独立したネットワークを形成していることを示した。以上の成果を学術雑誌Frontiers in Human Neuroscienceに報告した(Tanaka et al., Frontiers in Human Neuroscience, 2020)。 上記の視床下部に関わる神経ネットワークの研究を進めるとともに、(1) 反応抑制機能におけるヒト下前頭皮質のサブ領域を同定し、それぞれが大脳ネットワークへ異なる寄与をしていることをグラフ理論により検出(Fujimoto et al., Neuroscience, 2020)、(2) 下前頭皮質のサブ領域の個人ごとの分化パターンおよびその反応抑制機能との関わりを検証(Suda et al., Cerebral Cortex, 2020)などといったfMRIによる脳ネットワーク分析の適用の幅を広げ、研究成果を報告してきた。
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