研究課題/領域番号 |
18K07360
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
中道 友 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (70586164)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 視覚 / 下側頭葉皮質 / TE野 / TEO野 / 受容野 / 光内因性信号イメージング / オプトジェネティクス / opto-OISI |
研究実績の概要 |
私たちが見た物体の視覚情報は,腹側皮質視覚路の複数の領野にて階層的に処理される.例えば私たちが顔を見た場合,網膜に映る画素上の点を並べて線に(V1、V2),線を並べて曲線に(V4),曲線を組み合わせて顔に含まれるパーツに(TEO野),パーツを組み合わせて顔に(TE野),と情報変換され,顔の認識に至る.また,V1からTEO野までの神経細胞は視野の位置に依存した応答特性を示すが(小さな受容野),TE野の神経細胞は視野の位置に依存せず,私たちの視覚能力に対応する(大きな受容野).本研究では,こうしたヒトを含む霊長類の物体認識がどのように成されるかを理解するため,TE野の表現する図形特徴と受容野の形成メカニズムの解明を目的とし,研究を行っている. 2018年度は,これまでの研究で開発した,オプトジェネティクス技術と光内因性信号イメージングを併用した皮質間神経結合パターン計測法「opto-OISI」を用い,TE野とその前の領野であるTEO野間の神経結合の空間様式について調査を行った.opto-OISIをマカクサルのTEO野-TE野に適用した結果,再現性の良い神経結合パターンが得られ,またその結果から,TEO野からTE野への神経結合は,コンバージェントな神経結合とダイバージェントな神経結合の両者が存在することが示唆された. 今後は,TEO野-TE野の神経結合パターンについての追実験を行うとともに,同定したTEO野-TE野間の神経細胞ペアの応答特性を電気整理記録により検討し,TE野が表現する図形特徴と受容野の形成メカニズムについて調査する. なお,開発したopto-OISIについては,その成果がScientific Reports誌(9, Article number: 6466)に掲載された.また,光内因性信号イメージングに替わる光イメージング手法(機能的OCT)の検討も行っており,その成果を国内学会で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳の感染や再生膜の影響により,TE野での光イメージングの実験実施が困難となったケースが数例あったため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き実験を行うが,時間を節約するため急性実験によるデータ収集も行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験動物を複数頭購入予定であったが,研究室で保有している動物が使用できたため,次年度使用額が生じた.実験動物の購入あるいは動物の飼育費用や実験に必要な消耗品の購入に使用する.
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