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2018 年度 実施状況報告書

虚血性脳炎症疾患に伴うミクログリアや微小血管機能変化とpH感知性受容体

研究課題

研究課題/領域番号 18K07362
研究機関群馬大学

研究代表者

佐藤 幸市  群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (00302498)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードプロトン感知性受容体 / G蛋白共役型受容体 / 脳虚血 / ミクログリア / 脳内炎症 / 微小血管内皮細胞 / 酸性pH / 細胞死
研究実績の概要

中枢神経系のpH変化は神経機能に重篤な影響を及ぼすと考えられるが、そのメカニズムは依然不明である。脳神経系にはpH 7.6~6.0を感知するプロトン感知性G蛋白共役型受容体(TDAG8、GPR4、OGR1)が発現している。神経系細胞ではないが、内皮細胞にはGPR4が発現している。本研究では、マウスに中大脳動脈閉塞手術を施し、虚血・再灌流後の酸性ストレスによる脳梗塞の進展にこれらの受容体がどのように関わっているかを明らかにする。平成30年度では、虚血・再灌流後の脳組織におけるpH変動を調べた。また、脳虚血後のダメージにプロトン感知性受容体がどのような役割を担っているか、マウスの脳虚血モデルを用いて解析し、以下のような実績を得た。
(1)マイクロpHセンサーを用いて脳組織におけるpH変動を調べたところ、中大脳動脈を閉塞すると血流支配領域のpH低下が観察された。
(2)プロトン感知性受容体サブタイプ発現への虚血・再灌流による影響を調べた。大脳組織においてTDAG8、GPR4、OGR1は明らかに発現しており、虚血・再灌流処置によるTDAG8の誘導が観察された。
(3)プロトン感知性受容体欠損による脳虚血マウスの運動機能、梗塞領域への影響を調べた。TDAG8欠損では虚血・再灌流による運動機能低下や梗塞領域が軽減されていた。また、GPR4欠損では梗塞領域の低下する傾向が見られた。
このように、脳組織は虚血によって弱酸性pHに暴露され、プロトン感知性受容体が pH変化を感知し、脳虚血後のダメージに対して何らかの作用を及ぼしていると推測された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成30年度では、マウスに中大脳動脈閉塞手術を施し、脳組織におけるpH変動とプロトン感知性受容体欠損の影響を解析してきた。中大脳動脈を閉塞すると血流支配領域のpH低下が観察された。虚血・再灌流による脳梗塞に対してTDAG8が抑制的に、GPR4が促進的に関わるのではないかと推察される。しかし、虚血・再灌流後の脳組織における神経細胞、グリア細胞の詳細な状況を観察することまで至らなかった。今後、培養細胞を用いる解析に加え、このような未解決の項目に関して継続してプロトン感知性受容体の役割を探索する。

今後の研究の推進方策

虚血・再灌流後の酸性ストレスに対するプロトン感知性受容体の役割を探索するため、中大脳動脈閉塞による虚血モデルを用いて平成30年度で未解決の項目に関して継続して行う。また、次年度の研究計画に従い、プロトン感知性受容体が脳虚血と関連したミクログリアの活性制御に関与しているのか、炎症性サイトカイン産生とプロトン感知性受容体の関連性を解析する。さらに、培養ミクログリアを用いて細胞外酸性pH応答を調べる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Extracellular acidification-induced CXCL8 production through a proton-sensing receptor OGR1 in human airway smooth muscle cells: a response inhibited by dexamethasone.2019

    • 著者名/発表者名
      M. Kadowaki, H. Yamada, K. Sato, H. Shigemi, Y. Umeda, M. Morikawa, Y. Waseda, M. Anzai, Y. Kamide, H. Aoki-Saito, T. Hisada, F. Okajima, T. Ishizuka
    • 雑誌名

      J. Inflamm. (Lond.)

      巻: 16 ページ: 4

    • DOI

      10.1186/s12950-019-0207-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Metals Differentially Activate Ovarian Cancer G Protein-Coupled Receptor 1 in Various Species.2018

    • 著者名/発表者名
      Y. Mochimaru, J. Negishi, S.Murakami, S. Musha, K. Sato, F. Okajima, H. Tomura
    • 雑誌名

      Zoolog. Sci.

      巻: 35 ページ: 109-114

    • DOI

      10.2108/zs170145

    • 査読あり
  • [学会発表] T cell death associated gene 8 mediates MUC5AC expressions in the ovalbumin-induced asthma model.2018

    • 著者名/発表者名
      H. Tsurumaki, H. Saito-Aoki, C. Mogi, K. Sato, T. Nakakura, Y. Koga, M. Yatomi, M. Sato, K. Dobashi, F. Okajima, T. Hisada
    • 学会等名
      XXIV World Congress of Asthma 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] 固相化リポ蛋白リパーゼ(LPL)抗体を用いた血中レムナントリポ蛋白の単離の試み2018

    • 著者名/発表者名
      長澤拓海、佐藤幸市、宮下かずや、深町勇、中嶋克行、町田哲男、村上正巳、安部由美子
    • 学会等名
      第58回日本臨床化学会年次学術集会
  • [備考] 生体調節研究所シグナル伝達グループホームページ

    • URL

      https://signal-transduction.imcr.gunma-u.ac.jp/index.html

  • [備考] 群馬大学生体調節研究所ホームページ

    • URL

      https://www.imcr.gunma-u.ac.jp

  • [備考] 群馬大学ホームページ

    • URL

      http://www.gunma-u.ac.jp

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公開日: 2019-12-27  

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