がんの神経への浸潤と末梢神経障害後の神経再生の分子機構は一部重複している。これまでの解析では、がん細胞がシュワン細胞を脱分化させ、未分化型へ誘導することを明らかにした。本研究では、未分化型シュワン細胞ががん細胞の形質に及ぼす影響について解析を行った。未分化型シュワン細胞の培養上清をがん細胞に処置したところ、遊走能が増大した。さらに両細胞の共培養では、未分化型シュワン細胞ががん細胞の周りを取り囲み、その後、がん細胞を包み込むように増殖していた。これらのことからがん細胞により未分化型へ形質転換したシュワン細胞は、がん細胞の遊走/浸潤のガイドとして機能している可能性が示唆された。
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