研究課題/領域番号 |
18K07383
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
渡邉 淳 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 共同利用推進室, 室長 (90321843)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / バイオマーカー / プロテオーム解析 |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病の進行に応じて、関連するタンパク質の挙動も変化し、それらが血液中で解析できれば、安価で迅速な病態評価が可能になり、診断法の開発に役立つことが期待される。そこで、アルツハイマー病患者20例及び認知機能正常者20例の血漿を用い、網羅的プロテオーム解析を試みた。全処理として、アルブミンやイムノグロブリン等の主要なタンパク質の抗体が固定化されたアフィニティーカラムを用いて、液体クロマトグラフィーで分離を行った。各々の画分はそれぞれ直接トリプシンで消化し、質量分析を行った。得られたデータはProteome discovererで検索を行い、同定されたタンパク質をScaffoldソフトウエアのスコアをもとにリストを作成した。アルツハイマー病患者で認知機能正常者よりスコアが高かったApolipoprotein BやKelatinと、逆に低かったHaptoglobinやClusterinについては、これらの抗体を用いたウェスタンブロットでの定量化を試みた。しかしながら、質量分析によって変化が見られたこれらのタンパク質について、ウェスタンブロットで顕著な違いは見られなかった。質量分析では翻訳後修飾や変異によりペプチドの同定率が低下した結果、スコアが変動した可能性やウエスタンブロットにおいても抗体のエピトープ部分が何らかの翻訳後修飾や変異によって反応性に違いが出た可能性が考えられる。今後これらの修飾も考慮に入れ、質量分析のデータの取得方法を検討し解析を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
質量分析によって得られた結果が、幾つかの抗体を用いたウェスタンブロットによって確認出来なかった。質量分析では翻訳後修飾や変異によりペプチドの同定率が低下した結果、スコアが変動した可能性が考えられた。質量分析でタンパク質の網羅的な変動解析を行いたいので、より定量性が上がるように解析の条件の検討が必要で、このために時間を要し、遅れの原因となった。
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今後の研究の推進方策 |
血漿タンパク質は特に糖鎖等の修飾がなされているので、これらの翻訳後修飾を加味した上での変動解析を行うとともに、質量分析のデータの取得方法を検討することにより、より定量性が上がるように解析の条件を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は当初の計画通りに予算を執行したが、初年度の繰越し金を執行するまでは行かなかった。最終年度にこの遅れを取り戻すよう質量分析の解析数を増やし、計画通りに経費を執行する予定である。経費の用途としては主に質量分析に必要な試薬や消耗品の購入に充てる。
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