研究実績の概要 |
本研究では優性遺伝性アルツハイマー病(DIAD)家系とこれまでに収集した孤発例アルツハイマー病者と国際的な共同研究により、アルツハイマー病の 1)臨床経過,2)最新の認知機能検査と3)バイオマーカーの自然経過を明らかにできた.これらの研究は,1)アミロイドアンギオパチ-による微小出血はMCI段階から急激に増加する(Neurology).2)新たに開発した質量分析による測定でAbeta42と43がCSFで低下すること(J Alzheimer Dis).3)CogEVOなどの新たな認知機能検査を開発し、アルツハイマー病における無症候期の認知機能の評価システムを開発したこと(Geriat Geronto Int).4)CSFのリン酸化タウのうちp217およびp181がMCI段階よりも20年以上前から増加する事 (Nature Med),5)血液リン酸化タウ測定を目指して,新たなタウな測定系を開発したこと (Neurosci Lett),6)ライフスタイルによる脳アミロイドやタウ病理の変化を明らかにしたこと(Biol Psych)、6)APOE遺伝型と血液Abeta40,42,認知機能,他の血液バイオマーカーとの相関(Ann Clin Trans Neurol) 等の成果として論文発表された.さらに,初年度のCSFやplasmaにおけるAbeta,タウ, リン酸化タウ,アルファシヌクレインの測定報告(J Alzheimer Dis)や血液Neurofilament light chainがMCI段階より.6.8年前から増加してくる報告(Nature Med)と合わせると,遺伝性・家族性アルツハイマー病の自然経過を明らかにして,今後の臨床診断や根本的治療法の開発に,大きな貢献ができたものと考えられる.
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