研究課題/領域番号 |
18K07386
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
佐藤 裕康 山形大学, 医学部, 助教 (90436204)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / アデノ随伴ウイルス / αシヌクレイン / PLK2 / リン酸化 |
研究実績の概要 |
パーキンソン病(PD)を特徴づけるLewy小体の主要構成成分は凝集したリン酸化αシヌクレインである。αシヌクレインのSer129リン酸化がPDの病態メカニズムに関与していることが想定される。本研究課題ではSer129をリン酸化する主要なキナーゼであるPolo-like kinase(PLK)2に着目する。PLK2ノックアウトマウスに、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いてA53T変異型αシヌクレインを中脳黒質に発現させ、PLK2ノックアウトがSer129リン酸化レベルに与える効果、およびドパミン神経毒性に与える効果を解析する。実験の進捗状況は以下の通りである。 ・PLK2ノックアウトマウス、およびコントロールの野生型マウスにAAV血清型9型を用いてA53T変異型αシヌクレインを過剰発現させ、ドパミン神経細胞の脱落を起こすことを組織学的に確認した。 ・この動物モデルでSer129リン酸化αシヌクレイン陽性の異常凝集体は、免疫組織化学染色で存在することを確認した。 ・PLK2ノックアウト状態では、Ser129リン酸化レベルは、免疫組織化学染色および中脳組織のウェスタンブロットで減少していた。 ・PLK2ノックアウトマウスでは、野生型マウスに比べて、αシヌクレインによるドパミン神経毒性は抑制されている可能性が示唆された。しかし、解析可能な個体数が少かったため、Nを増やして再現性のある結果が得られるか確認する予定としている。 ・PLK2ノックアウトによるαシヌクレインのリン酸化の減少とドパミン神経細胞死の抑制と、αシヌクレイン凝集体形成、炎症との関連を解析する。凝集体の定量評価を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験施設の改修が重なり、動物実験に遅延が生じた。また、免疫組織化学切片を用いた凝集体、炎症細胞の定量評価に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験の追加実験を行う。PLK2ノックアウトの有無による、神経細胞死、凝集体形成、炎症に対する効果、およびその関連を、主に組織学的な解析で検討する。組織学的な解析で関連性を見出せない場合、動物モデルの脳組織を用いた生化学的な解析を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は動物実験施設改修の為、動物実験を施行できなかったことが主な理由です。2021年度は追加の動物実験、評価を予定しており、動物実験経費、免疫組織化学解析、ウェスタンブロット関連試薬、抗体等の試薬、プラスチック製品、動物飼育費に使用する予定です。
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