研究課題/領域番号 |
18K07387
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
森 雅裕 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (70345023)
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研究分担者 |
鵜沢 顕之 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10533317)
八木 良二 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任准教授 (20392152)
日和佐 隆樹 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任准教授 (30260251)
星野 忠次 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (90257220)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | SEREX / FACS / 自己免疫 / 抗体 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、神経免疫疾患の中には自己抗体による発症機構が想定されるものの、自己抗体とその認識抗原が同定できないケースが数多く存在するため、それらの自己抗体の認識抗原を同定することであり、そのためにはまず自己抗体とその認識抗原が同定できていないが自己免疫疾患が疑われるケースの選定とそれらのケースの検体の収集が必要である。 このためにまず、①抗aquaporin-4(AQP4)抗体・抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体両者陰性視神経脊髄炎の患者血清 28例、②抗acetylcholin(ACh)受容体抗体・抗muscle specific kinase(MuSK)抗体両者重症筋無力症の患者血清 18例、③抗voltage-gated potasium channel(VGKC)抗体・抗NMDA(N-methyl-d-aspartate)受容体抗体陰性辺縁系脳炎 2例、④抗ガングリオシド抗体陰性ギランバレー症候群 35例、⑤抗neurofascin-155(NF155)抗体、抗contactin-1(CNTN1)抗体陰性慢性炎症性脱髄性多発神経炎 20例などの血清を確保した。①③の一部の症例については病気の急性期の髄液も確保した。また、これらの症例については性別、血清採取日、血清採取日の年齢、病型、重症度などの臨床情報もカルテなどから抽出して集めた。 ついでglioma患者脳由来cDNAライブラリーおよび血管内皮細胞由来cDNAライブラリー、さらに市販の脳由来cDNAライブラリー(プラスミドDNA)を組換えるための準備としてinternal ribosome entry site(IRES)ベクターを入手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先に述べたように、①抗aquaporin-4(AQP4)抗体・抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体両者陰性視神経脊髄炎の患者血清28例、②抗acetylcholin(ACh)受容体抗体・抗muscle specific kinase(MuSK)抗体両者重症筋無力症の患者血清18例、③抗voltage-gated potasium channel(VGKC)抗体・抗NMDA(N-methyl-d-aspartate)受容体抗体陰性辺縁系脳炎2例、④抗ガングリオシド抗体陰性ギランバレー症候群35例、⑤抗neurofascin-155(NF155)抗体、抗contactin-1(CNTN1)抗体陰性慢性炎症性脱髄性多発神経炎などの血清を確保した。①③の一部の症例については髄液も確保した。これらの症例については臨床情報もカルテなどから抽出して集めた。 ついでglioma患者脳由来cDNAライブラリーおよび血管内皮細胞由来cDNAライブラリー、さらに市販の脳由来cDNAライブラリー(プラスミドDNA)を組換えるための準備としてinternal ribosome entry site(IRES)ベクターを入手した。 本来、今年度中に組換え作業は完了しているはずであったが、完了しなかった。これは血清の確保において、多数の疾患を取り扱うために膨大な検体からの収集が容易でなく、さらにその臨床情報の収集も疾患が多岐にわたるため、非常に時間がかかる作業となったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
まず、保有しているglioma患者脳由来cDNAライブラリーおよび血管内皮細胞由来cDNAライブラリー、さらに市販の脳由来cDNAライブラリーに組み込まれたタンパク質をコードする遺伝子を制限酵素により切り出し、哺乳類細胞用のベクターであるIRESベクターに組み換える。さらに対象疾患により、それに対応する標的臓器から、例えば抗ACh受容体抗体・抗MuSK抗体陰性の重症筋無力症患者由来IgGの標的抗原探索では筋組織から上図のようにmRNAを抽出し、cDNAライブラリーを作製する。次いでIRESベクターに組み換えられたcDNAライブラリーをHEK293細胞に導入する さらに遺伝子を組み込みタンパク質をその表面に発現したHEK293細胞に患者血清、髄液IgGを反応させた後、蛍光標識した抗ヒトIgG抗体を反応させ、フローサイトメーターで陽性細胞を同定し、当該疾患、正常対照、疾患対照の多数症例で抗体保有の有無を検討し、当該疾患特異的な抗体であることを確認する。 また、回収された細胞からDNAを抽出し、ベクター由来のプライマーを用いるPCRによりcDNA領域を増幅し、塩基配列を解析して標的抗原を同定する。同定された抗原タンパク質の三次元構造解析をX線結晶解析ならびにNMRを用いて行い、エピトープ領域を絞り込む。 さらにその抗原タンパク質を用い、AlphaLISAで多数検体を用いて、確かに当該疾患で高い抗体価を有する患者が多いことを確認するとともに、抗原タンパク質をマウスに免疫し、疾患のマウスでの再現に取り組む。臨床的な変化に加え、病理学的な変化の有無を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が遅れており予定していた試薬等の購入を次年度以降で行うことにしたため。
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