本課題では、孤発性および遺伝性プリオン病の試験管内モデルの構築に成功した。この実験系は、未だ明らかになっていない正常プリオン蛋白質からプリオンへの構造変換メカニズムを解明するために非常に有用である。さらに、この実験系はプリオン病の治療・予防薬のスクリーニング系として用いることができる。その他に本課題では、性状が異なるプリオン株が生成する要因のひとつに構造変換に関わる補因子の組成の違いがあることを明らかにした。この結果は、ある一種類の動物種から異なる性状をもつプリオン株が複数生じるメカニズムを解明するための重要な手がかりになると考えられる。
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