RNA抽出キットを用いRNA抽出を行い、品質チェックも同時に行った。RNAの品質の指標であるRIN値が6.7-8.5と高い値を示しており、RNA分解の影響をうけていないと判断した。次に、NAIP遺伝子の情報を基に4種類のNAIPプライマーを作成した。標準物質NAIP plasmidを鋳型とし、KAPA SYBR Fast Universalを用いた2-step qPCRを実施し、NAIPプライマーの特異性を検討した。結果、NAIP plasmidに対してすべてのプライマーは増幅し、直線性が確認できた。予備検討のヒト全血由来total RNAを鋳型とした1-step qPCRにおいて、NAIP2及びNAIP3プライマーの増幅効率が低かったことから、以降の試験にはNAIP1及びNAIP4プライマーを使用することとした。Reference遺伝子プライマーの特性の検討として、論文検索により、 HPRT1、GAPDH、PGK1の3種類の遺伝子のプライマーを作成した。検討した全てのreference遺伝子プライマーは効率よく増幅することが確認されたが、ヒトの血液で効率よく増幅できるとの報告のあるPGK1をreference遺伝子プライマーに採用した。次にヒト全血由来total RNAを10~1.25 ng/μLまで公比2で希釈した鋳型を用いて1-step qPCRを実施し、NAIP1、NAIP4及びPGK1プライマーの増幅効率を検討した。その結果、2.5~20 ng/rxnの範囲の鋳型量であれば阻害の影響は受けず、効率よく増幅することが確認できた。以上のことから、ヒト全血から単離したtotal RNAの最適な鋳型量は2.5~20 ng/rxnの範囲であると判断し、以降の試験には鋳型量10 ng/rxnでqPCRの検討を実施することとした。
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