研究課題
バブル崩壊時、最初は国からの補助で生き延びれていた企業も、徐々に体力を失い、倒産や廃業となり、それに合わせるように失業率は5%近くまで増えました。結果、バブル崩壊2,3年後から50代男性を中心とした自殺が増え、失業率と自殺率の高さは10年ほど続いたわけです。今のコロナショックはバブル崩壊以上といわれ、失業率は6%を越えることが予想されています。自殺も若い女性など弱者から増え始めており、今後、コロナの病死者の30-100倍の人が自殺することが予見されています。自殺の半分以上はうつ病由来とわかっています。我々はストレスを感じたら、チョコレートなど甘いものについ手が伸びてしまうように、スマホの課金ゲーム、パチンコ、競馬などの課金額、アルコール、たばこの量が増えがちです。その中で麻薬は確実に依存性を上げるものであり、結果、投与量やうつ回数が増えて、結果的にオーバードーズで亡くなったり、逆にそのドーパミン活動性の上昇効果でうつ状態が悪化するという負のスパイラルが形成されます。この分子メカニズムを明らかにするため、我々はマウスを用いた実験モデルを作成し、その予防法を含めて研究しています。うつ状態では腹側被蓋野のドーパミン神経の発火頻度が上がっていることがマウスのデータからわかっています。このことからうつ状態ではドーパミン放出が増していることが推測されますが、麻薬は放出されたドーパミンの再取り込みを阻害する作用があり、結果、シナプス間隙のドーパミン濃度を上げるので、その相乗効果でうつ状態が悪化することが推測されます。我々はこのとき、腹側被蓋野の下流の側坐核で本当にドーパミン濃度が増えるのか、増えたドーパミンが側坐核の神経細胞にどのような影響を与えて、結果、それがうつ状態や依存性にどのように影響を与えるかについて取り組んでおり、その分子機構も含めて明らかにしつつあります。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Nature Communications
巻: 11(1) ページ: 4484-4496
10.1038/s41467-020-17825-x