研究課題/領域番号 |
18K07403
|
研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
小牟田 縁 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 内科, 助教 (60566850)
|
研究分担者 |
海田 賢一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 准教授 (40531190)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 自己免疫性神経疾患 / 自己抗原の同定 |
研究実績の概要 |
本研究では自己免疫性神経疾患(主にギランバレー症候群、フィッシャー症候群、CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎))に関して、主にガングリオシド以外の自己抗原の同定と発症機序の解析を主目的として研究している。一方で患者の治療情報を基にヒトでの発症機序の考察を行い、実験的解析から得られた情報を役立てるか検証する事を目指している。 2018年度では自己抗原の免疫沈降法による回収を計画していたが、機器の不調などがあり実施が遅れた。 一方で、2018年度までに当科で保存されている研究対象となる検体と新規の患者検体に関して、神経組織の免疫染色による解析から抗原の局在によって分類し、グループ分けを行った。これらの幾つかのグループに対して、ラット坐骨神経の解きほぐしサンプルを使用した免疫染色法によって局在を詳細に解析し、各検体中の抗体の力価も比較した。また、これまでの免疫染色の解析結果を再検証したところ、新たな抗原グループを確認・追加することができた。さらに2018年度に集められた新規の患者検体の解析結果より、これまで検体の例数と患者情報が不十分であった複数のグループで、各グループに分類できる新たな検体を得る事ができ、検体・患者情報を十分な例数得ることができた。これより自己抗原の同定に必要な検体数を満たしたグループが増えたことになり、各グループ内での共通点やグループ間での比較等、患者情報を利用した解析をより正確に行う事が可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までにギランバレー症候群、CIDPを中心とした自己免疫性神経疾患のおよそ300名(2018年度で100名程追加)の患者血清の自己抗体について、自己抗原の局在・特徴によって複数のグループに分けられることが確認できている。しかし、これらの幾つかのグループで一部の検体が古いため患者情報が無いなど、患者情報を伴う検体例数が十分に得られていなかった。当課題の目的でもある標的抗原や病的意義と発症機序の解析において、ヒトでの発症機序の考察するためには患者の治療情報の存在は望ましいのだが、これらのグループと同様の抗原の特徴を持つ自己抗体の出現の確立は高い訳ではなく、検体数が不十分な場合、発症機序の解析を行うのが非常に困難になる事が予想された。 2018年度の新規の自己免疫性神経疾患患者の血清の解析により、これらの幾つかのグループで、新しい検体が複数確認され、十分な例数と患者情報を得ることができた。増加した検体の情報を基に、これまでの結果を再検討したところ、更に例数が増え、また新たな特徴のグループを確認・追加することができた。 2018年度は使用予定の機器の不調や当課題以外の仕事のエフォート増加等があり、当初予定していた幾つかの解析ができなかった一方で、前述した通り、複数のグループの解析が可能となったことは非常に大きな進展と言える。
|
今後の研究の推進方策 |
当課題の対象となる2019年度新規の患者検体をELISA、免疫染色等にて解析し、随時解析総数を増やす。各抗原グループの例数を増やし、さらに患者情報の解析を行いやすくする。 検体数が十分なグループの中から、自己抗体の力価の高い検体を代表として複数選別する。選別の方法としては免疫染色の結果を考慮しながら、ウェスタンブロット法によっても確認する。選別した検体からIgG抗体を抽出し、免疫沈降によって抗原を回収する予定である。自己抗原を取り出す元となる組織は、坐骨神経や後根神経節、大脳などの神経系組織での免疫染色結果から選別する。 十分な自己抗原を得られたならば、LC/MS解析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
使用予定の機器の不調のため、予定していた実験を行う事ができず、実験に必要な試薬類の購入を延期したため次年度使用額が生じた。次年度ではできなかった実験のために試薬類を購入する。
|