研究課題
原発性胆汁性胆管炎患者20例の末梢血液を収集し、エクソソーム溶液をmiRNeasy Mini Kit を使用して、収集された末梢血液からsmall RNAを含むtotal RNAとして抽出した。エクソソーム由来のmiRNAをアレイ用のサンプルとし、アレイ(東レ、2555分子のmiRNAを搭載)に、標識したサンプルをオリゴチップにハイブリダイゼーションした後、アレイ用スキャナーでスキャニングを行った。その後各スポットにおける蛍光強度値の定量化を行い、シグナル値を算出し、エクソソーム内のmiRNAを同定した。発現プロファイルの解析は、計算解析サーバを使用し、従来の統計学的方法に加え、統計的手法SAM (Significant Analysis of Microarray)、RDAM (Rank Difference Analysis of Microarray)を用いた。そして、PBCの治療抵抗群と治療良好群において、2555分子のエクソソーム内のmiRNAの解析により、それぞれ独立したクラスターを形成するかどうかを検討した。治療開始直後と1ヶ月後を比較すると、25分子で差異がみられた。ALP及びγ-GTP値によって治療良好群と治療抵抗群に分類した結果では、治療開始1ヶ月後においてクラスターの形成はみられなかった。治療開始1ヶ月後において、サンプル中の年齢中央値未満と年齢中央値以上に分類するとクラスターの形成がみられ、4分子(hsa-miR-940・hsa-miR-1470・hsa-miR-3663-3p・hsa-miR-4632-3p)で差異を確認した。差異のみられたmiRNAについてリアルタイムPCR法により定量的な解析を行った。また、標的遺伝子予測プログラムのデータベースを利用し、標的遺伝子の増強もしくは抑制の機序と炎症やアポトーシス、細胞増殖との関連について検討した。