研究課題
腎臓の虚血再灌流傷害をWild type マウス(WT)、VWF gene-deletedマウス(VWF-KO)を用いて比較検討した。WTではVWF-KOに比べて、再灌流後24時間の腎血流が低下し、血清Crも上昇し、組織にても尿細管障害が強く、血管へのVWFの沈着や白血球の集簇も強く、VWFは腎臓の虚血再灌流傷害悪化に関与していると考えられた。WTマウスに対してリコンビナントADAMTS13の投与や、血小板とVWFの結合を阻害する抗VWF抗体の投与にて、虚血再灌流傷害は改善していたことは、腎臓の虚血再灌流障害はVWFが微小血栓および白血球粘着を惹起して生じており、VWFの機能をADAMTS13によって調整することは、腎臓の虚血再灌流障害の予防や治療手段になりうると考えられた。ADAMTS13/VWF分子が癌の進展や転移へどのように関わっているかについても、研究を行っている。血管内皮細胞をフローチェンバー内に培養固着させ、ヒスタミンで刺激することによりUL-VWFを分泌させ、洗浄血小板にADPを加えLewis肺がん細胞と一緒に流すとUL-VWFに粘着した血小板に肺がん細胞が粘着することを確認した。WTマウスとADAMTS13 gene-deletedマウス(ADAMTS13-KO)に肺がん細胞を注入して転移を観察している。
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