研究課題/領域番号 |
18K07421
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
亀崎 豊実 自治医科大学, 医学部, 教授 (90316513)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自己免疫性溶血性貧血 / クームス試験 |
研究実績の概要 |
自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の約1割はクームス試験が陰性を示し、クームス試験感度以下の赤血球結合IgGが主な原因と言われている。近年普及してきているカラム法クームス試験は試験管法に比べ感度が高く、クームス陰性AIHAカットオフ値相当の赤血球結合IgGも検出可能といわれているが、当ラボへの検査依頼症例では依然クームス陰性AIHAが検出されている。本研究では、カラム法クームス試験陰性AIHAの診断法や臨床的特徴を明らかにするとともに、カラム法クームス試験の感度について赤血球結合IgG量で再定義することを目的としている。 2018年度に我々の研究室へ検査依頼のあった症例は111例であった。内訳は、年齢は6ヶ月から92歳で、男女比44%/56%、直接クームス試験陰性例は92%であった。赤血球結合IgG定量値としては1-1550 IgG分子/赤血球で、抗IgAクームス試験陽性は7例、抗IgMクームス試験陽性は6例であった。また、カラム法抗IgGクームス試験は34例で陽性となり、赤血球洗浄後に7例が陰性化した(低親和性IgG自己抗体の疑い)。検査の1年後に主治医に対して臨床診断と経過についてのアンケート調査を行い、最終診断とする予定であり、カラム法クームス試験陰性AIHAの診断法や臨床的特徴を明らかにする予定である。 精査結果を基にした2件の症例報告論文の共著者ならびに4件の学会発表の共同演者となった。また、AIHAに関する論文を1報執筆した。1冊の書籍の共同執筆者となった。8編のAIHAに関連した総説を執筆した。日本検査血液学会学術集会でAIHAに関する講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、全国から原因不明溶血性貧血患者111例の精査を行った。直接クームス試験陰性例は92%であった。赤血球結合IgG定量値としては1-1550 IgG分子/赤血球で、抗IgAクームス試験陽性は7例、抗IgMクームス試験陽性は6例であった。また、カラム法抗IgGクームス試験は34例で陽性となり、赤血球洗浄後に7例が陰性化した(低親和性IgG自己抗体の疑い)。検査の1年後に主治医に対して臨床診断と経過についてのアンケート調査をおこない、カラム法クームス試験陰性AIHAの診断法や臨床的特徴について検討する予定である。2018年度は例年通りの100件以上の依頼があり、通常は4割程度がAIHAと診断されていることから、順調な症例の蓄積が行われていると考えられ、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も全国から原因不明溶血性貧血患者の精査を受け付け、2018年度と同様に赤血球結合IgG定量、抗IgAクームス試験陽性、抗IgMクームス試験,洗浄前後のカラム法抗IgGクームス試験をおこなう。検査の1年後に主治医に対して臨床診断と経過についてのアンケート調査で臨床診断と臨床データを蓄積し、カラム法クームス試験陰性AIHAの診断法や臨床的特徴について検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 抗体標識用のアイソトープ購入時期が年度を跨ぐことになったため、次年度のアイソトープ等の購入に使用するため、次年度使用額が生じました。 (使用計画) 新年度にはアイソトープ等購入に使用する予定です。
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