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2020 年度 実施状況報告書

カラム法クームス試験普及の時代にクームス陰性自己免疫性溶血性貧血は存在するのか?

研究課題

研究課題/領域番号 18K07421
研究機関自治医科大学

研究代表者

亀崎 豊実  自治医科大学, 医学部, 教授 (90316513)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード自己免疫性溶血性貧血 / クームス試験
研究実績の概要

自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の約1割はクームス試験が陰性を示し、クームス試験感度以下の赤血球結合IgGが主な原因と言われている。近年普及してきているカラム法クームス試験は試験管法に比べ感度が高く、クームス陰性AIHAカットオフ値相当の赤血球結合IgGも検出可能といわれているが、当ラボへの検査依頼症例では依然クームス陰性AIHAが検出されている。本研究では、カラム法クームス試験陰性AIHAの診断法や臨床的特徴を明らかにすることを目的としている。
2015年から2019年に我々の研究室へ検査依頼のあった637症例において、検査から1年後に行った主治医へのアンケート調査への回答は438例(69%)であった。438例中26例は依頼医療機関でのクームス試験が陽性であり、30例はデータセットに不備が認められたことから、残りの382例を対象として検査分類と臨床診断について検討を行った。
クームス試験陰性の溶血性貧血症例に対して、我々の提唱する検査セットを治療前の検体で行うと、クームス陰性AIHA診断に関する感度は97%で特異度は84%であった。また、クームス陰性AIHAは検査上、6種類(試験管DAT陰性AIHA、ダブルDAT陰性AIHA、低親和性IgG型AIHA、IgA/IgM型AIHA、低親和性IgM型AIHA、臨床的に診断されたクームス陰性AIHA)に分類することができた。主要な4つのDAT陰性AIHAのサブグループ(試験管DAT陰性AIHA、低親和性IgG型AIHA、ダブルDAT陰性AIHA、「臨床的に診断されたクームス陰性AIHA」)の特発性症例について臨床的特徴を検討した。
AIHAに関する1編の原著論文の著者、1件の学会発表の共同演者となった。5冊の書籍の共同執筆者となった。3編のAIHAに関連した総説を執筆した。日本血液学会学術集会でAIHAに関する1つの招待講演を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2020年度は、2015年から2019年に我々の研究室へ検査依頼のあった637症例中、検査から1年後に行った主治医へのアンケート調査へ回答のあった438例から依頼医療機関でのクームス試験が陽性であった26例とデータセットに不備が認められ30例を除外した残りの382例を対象として、検査分類と臨床診断についての検討を行った。クームス試験陰性の溶血性貧血症例に対して、我々の提唱する検査セットを治療前の検体で行うと、クームス陰性AIHA診断に関する感度は97%で特異度は84%であった。クームス陰性AIHAは検査上、6種類(試験管DAT陰性AIHA、ダブルDAT陰性AIHA、低親和性IgG型AIHA、IgA/IgM型AIHA、低親和性IgM型AIHA、臨床的に診断されたクームス陰性AIHA)に分類することができ、主要な4つのDAT陰性AIHAのサブグループ(試験管DAT陰性AIHA、低親和性IgG型AIHA、ダブルDAT陰性AIHA、「臨床的に診断されたクームス陰性AIHA」)の特発性症例について臨床的特徴を明らかにした。以上の結果について、今後、英文誌への発表を予定していることから、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

2015年から2019年に我々の研究室へ検査依頼のあった症例についてデータ集積/解析を行い、クームス試験陰性AIHAの診断法や臨床的特徴について論文を作成し発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

補助事業の目的をより精緻に達成するための研究の実施のため、論文投稿に使用予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2020 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Demographic characteristics, thromboembolism risk, and treatment patterns for patients with cold agglutinin disease in Japan2020

    • 著者名/発表者名
      Kamesaki Toyomi、Nishimura Jun-ichi、Wada Hideho、Yu Eric、Tsao Elisa、Morales Jaime、Kanakura Yuzuru
    • 雑誌名

      International Journal of Hematology

      巻: 112 ページ: 307~315

    • DOI

      10.1007/s12185-020-02899-6

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 特集 小児の貧血 7.自己免疫性溶血性貧血の診断と治療2020

    • 著者名/発表者名
      亀崎 豊実
    • 雑誌名

      小児科

      巻: 61 ページ: 1511~1520

    • DOI

      10.18888/sh.0000001510

  • [雑誌論文] 特集 貧血の薬物治療戦略 溶血性貧血2020

    • 著者名/発表者名
      亀崎 豊実
    • 雑誌名

      薬局

      巻: 71 ページ: 3112-3118

  • [雑誌論文] 特集 検査値を読む2020 17章 炎症マーカー検査 ハプトグロビン2020

    • 著者名/発表者名
      亀崎 豊実
    • 雑誌名

      内科

      巻: 125 ページ: 813~814

    • DOI

      10.15106/j_naika125_813

  • [学会発表] Progress in diagnosis and classification of autoimmune hemolytic anemia. Symposium 2. Hemolytic Anemia: Molecular Pathogenesis and New Treatment.2020

    • 著者名/発表者名
      Kamesaki T
    • 学会等名
      第82回日本血液学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 福山臨床検査センターにおけるフローサイトメトリーによる赤血球結合IgG定量の現状2020

    • 著者名/発表者名
      緒方静, 木本真史, 清水頌子, 森健太郎, 早崎俊成, 奥原俊彦, 山城安啓, 大峠ふくみ, 服部幸夫, 亀崎豊実
    • 学会等名
      第21回日本検査血液学会学術集会
  • [図書] EBM血液疾患の治療2021-2022(寒冷凝集素症(CAD)に対する治療と開発中の新規治療薬)2020

    • 著者名/発表者名
      亀崎豊実(金倉譲監修)
    • 総ページ数
      637(74-81)
    • 出版者
      中外医学社
    • ISBN
      978-4-498-22524-4
  • [図書] 免疫・炎症疾患のすべて (日本医師会生涯教育シリーズ) (自己免疫性溶血性貧血(AIHA))2020

    • 著者名/発表者名
      亀崎豊実(竹内勤監修)
    • 総ページ数
      366(297-299)
    • 出版者
      診断と治療社
    • ISBN
      978-4-787-82477-6
  • [図書] 新臨床内科学第10版 (酵素異常による遺伝性溶血性貧血 自己免疫性溶血性貧血)2020

    • 著者名/発表者名
      亀崎豊実(矢崎義雄監修)
    • 総ページ数
      1960(994-996)
    • 出版者
      医学書院
    • ISBN
      978-4-260-03806-5
  • [図書] 今日の診断指針第8版 (自己免疫性溶血性貧血)2020

    • 著者名/発表者名
      亀崎豊実(永井良三監修)
    • 総ページ数
      2114(1080-1082)
    • 出版者
      医学書院
    • ISBN
      978-4-260-03808-9
  • [図書] 自己免疫性溶血性貧血診療の参照ガイド(令和1年改訂版)2020

    • 著者名/発表者名
      張替秀郎, 西村純一, 植田康敬, 高森弘之, 和田秀穂, 亀崎豊実, 川本晋一郎, 池添隆之, 菅野仁, 大賀正一, 服部幸夫, 山城安啓, 金倉譲
    • 総ページ数
      44
    • 出版者
      厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業 特発性造血障害に関する調査研究班(研究代表者 三谷絹子)
  • [備考] 自己免疫性溶血性貧血(AIHA) に関する検査

    • URL

      http://aiha.a.la9.jp/AIHA/index.html

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公開日: 2021-12-27  

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